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「段取り」でひらく"トップセールス"への道

小森康充(営業強化コンサルタント)

2012年01月31日 公開 2024年12月16日 更新

営業に求められていることは何でしょうか?

それは、お客様と信頼関係を築き、目標を達成することです。そして、目標は、短期的ではなく、長期的に達成されなければなりません。そのために必要なものは、「素質」や「才能」ではなく、「段取り」です。

実力主義の外資系企業で、20年間の営業・人材育成キャリアを積んだ営業力強化コンサルタント小森康充氏が営業の極意を紹介します。

※本稿は、小森康充著『トップセールスの段取り仕事術』(PHPビジネス新書) より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

「心の窓」を開くことで人間関係は始まる

「優秀な営業」と「そうでない営業」は、何が違うのでしょう?

素質や才能? あるいは努力? それとも話法でしょうか?

私は大学を卒業したあと、P&Gジャパンの営業本部に入社しました。P&Gは、パンテーン、ウエラ、パンパース、フアプリーズなどを提供する、アメリカに本社を置く世界最大の日用品メーカーです。

入社当時は、とにかく営業成績を上げようと、若さと根性のみで突っ走り、多くの営業と同様に、数々の試行錯誤と困難を経験し、多くの失敗を重ねました。心身疲労で1カ月寝込んだりもしました。

しかし、のちに得意先との信頼関係を構築して、営業成績を大幅にアップさせ、数々の表彰実績を得ることができました。その後、外資系企業からの2度のヘッドハンティングを経て、大学の客員教授も経験し、現在はコンサルタントとして独立しています。

私には決して、生まれつきの才能があったわけではありません。無口で、ぶっきらぼうで、笑顔もなく、営業の才能などかけらもありませんでした。

そんな私が、営業で結果を出すことができたのは、「事前の準備」すなわち、「段取り」を徹底してきたからです。これには、1つのきっかけがありました。

入社して3年後に、営業本部の初代ディビジョナル・トレーナーに任命され、P&G のトップトレーナーであったボブ・ヘイドン氏から営業の極意を直接伝授してもらえたことです。

ボブ・ヘイドン氏に教えられたことは、コミュニケーションとは、まず相手の「心の窓」を開き、その開かれた状態をできるだけ長時間維持すること。すべての人間関係はここから始まるという考えです。

 

営業とは、相手の「心の窓」を開く仕事

「心の窓」には、大きく3つの状態があります。

1つ目は、心のブラインドが完全に閉じている状態。相手は警戒感を持ち、本心を言いません。

2つ目は、半分開いている状態、ちょっとした知り合いで、お茶くらい飲んでもいいかなと思っている状態です。

3つ目は全開の状態。相手はあなたを信頼し、あなたの話に耳を傾けてくれます。

つまり、営業とは、相手の「心の窓」を開く仕事ということです。

ボブ・ヘイドン氏の教えを実践するなかで気づいたことは、相手の「心の窓」を開くには、商談の前の目標設定、戦略、担当者とのコミュニケーションなどの「事前の準備」が最も重要であるということでした。私は、それを「段取り」と表現しています。

たとえば、自分のところに来る営業を見てお客様は考えています。「はたして、この営業は自分にとって役立つのか」と。

もし、役に立たないと判断されれば、相手の「心の窓」は閉じてしまいます。

逆に、しっかりと準備をしている、自分に役立つ情報を提供してくれると判断されれば、お客様の「心の窓」はどんどん開いていくのです。

私は、商談の前に、情報収集をして徹底的に準備をして、提案をすることで、自分のお客様の心の窓を開き、トップセールスを実現しました。

今のビジネス状況を見ると、事前の準備の重要性は、より高まっています。以前であれば、お客様に余裕があり、段取り・準備ができていない営業に対しても、次のチャンスが与えられることがありました。

しかし、ビジネスのスピードがますます速くなる今、お客様は忙しく、暇な時間などありません。一人の営業に使える時間は限られています。つまり、最初に「心の窓」が閉じてしまうと、それっきりの関係になってしまうのです。

 

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「心の扉」は開いているか

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