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人はなぜ「時間がない!」と感じてしまうのか?

水島広子(精神科医)

2018年12月18日 公開 2023年09月05日 更新

真面目な人ほど陥りやすい「焦りグセ」に要注意

職場でも家でもやることが多すぎて時間がない! と悩んでいる人は多いのではないか。でも、実はそれ、単なる思い込みかもしれない。真面目な日本人が陥りやすい「焦りグセ」とは? 精神科医の水島広子氏に教えていただいた。

 

「忙しさのメガネ」を通していないか?

 いつも「時間がない」と焦りを感じている人は少なくないのではないでしょうか。

 例えば、今日中にやらなくてはならない仕事があるのに、他の仕事が気になって集中力が散漫になり、目の前の仕事が進まない。あるいは、半年間続いたプロジェクトがやっと終わって、肩の荷が下りるかと思ったのもつかの間、それまで保留にしていた仕事に取りかからないと間に合わない気がして、焦りから抜け出せない。

 こういう人は、実際、物理的に忙しいとしても、それ以上に「私は忙しい」という「忙しさのメガネ」を通して現実を見て「忙しい感」を増しているのかもしれません。

「忙しさのメガネ」とは、「あれもやらなければ、これもやらなければ」「あれも終わっていない、これも終わっていない」という思考のフィルターを通して現実を見るメガネのことです。余計なことを考えずに目の前の資料作成に集中すればいいのに、「請求書を作らなきゃ」「あの本読んでない」など「終わっていないこと」が気になってしまい、必要以上に「忙しい」と感じてしまうのです。

 そして、常に「終わっていない」という意識のため、仕事を片づけても達成感が得られません。そればかりか、新しい仕事が入ってくると、それにどのくらいの時間がかかるのかを冷静に考えることができなくなり、頭が真っ白になったり、「ただでさえ忙しいのに!」と怒りを感じてしまうこともあります。

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「足りないところ探し」という現代病

著者紹介

水島広子(みずしま・ひろこ)

精神科医

慶應義塾大学医学部卒業、同大学院修了(医学博士)。慶應義塾大学医学部精神神経科勤務を経て、現在、対人関係療法専門クリニック院長。慶應義塾大学医学部非常勤講師。2000~05 年、衆議院議員として児童虐待防止法の抜本改正をはじめ、数々の法案の修正に尽力。『焦りグセがなくなる本』(PHP文庫)をはじめ、著書多数。

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