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生き方

あなたの人生に必要な本、不要な本の見極め方

名越康文(精神科医)

2018年12月17日 公開 2022年08月16日 更新

<<さまざまな読書体験により、多くの知識と教養を得てきた精神科医・名越康文氏。しかし実は読書嫌いなのだという。

読書が苦手で遅読であるからこそ「本を選ぶ目」を磨いてきたという名越氏に、今回は、読むべき本の見極め方、本との出会い方などを聞いた。年末年始に読むべき本の参考になれば幸いである。>>

※本稿は名越康文著『精神科医が教える 良質読書』(かんき出版)より一部抜粋・編集したものです
 

「読むに値する本」か「ただの紙の束」かを見分ける方法

私は自分のなかで、本を3つのレベルに分けています。

①3行ごとに感じ入る本(出会うことは稀)
②5ページに1か所は「お!」と思わせてくれる本(10冊に1冊くらい)
③20ページにひとつくらい学ぶことがある本(5冊に1冊くらい)

私の場合、たとえば川端康成氏の文章や、翻訳でもドストエフスキーの作品、哲学書では哲学者・廣松渉(ひろまつわたる)氏の書物などは3行ごとに感動するわけです。これらは私からすると、ほかの本とは明らかにレベルが違います。

また、5ページに1か所くらい「あ、これは面白いな」と思わせてくれる本は、私にとって良書です。ただし、このような本はめったに出会えません。

このように、本には圧倒的なレベルの違いがあります。そして自分にとって最良の本と出会うようにする。これは、私の読書術の大前提です。
集中力のない、私のような“読書苦手人間”は本をたくさん読めません。ですから、できるだけ“自分にとっていい本=レベルの高い本”を選んで読む必要があります。

対して、この3つのレベルに該当しない本は、読まなくてもいい本だと判断できます。

「最初の1章を読めば、その本の質はわかる」という読書の達人みたいな人がいますが、その意見には賛成です。

ですから、私も1章目か、あるいは自分が最も読みたい章があれば、まずは20ページくらい読みます。著者も一生懸命書いてくれているわけですから、まえがきも含めたら40ページくらいは読む。

それで「たいしたことない」「自分の求めているものではない」と思ったら斜め読みすればいいですし、あまりにひどかったら読むのをやめて次の本に移ればいい。

もちろん、たとえほかの多くの人にとって良書であっても、自分にとってはそうではないことも多々あることは大前提です。これは、大切な感覚でもあると思っています。

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