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鹿児島発のM&A巧者 「インフラ関連事業の複合企業体」が成長し続ける理由

松﨑秀雄(インフラテック株式会社代表取締役社長)、松﨑慎太郎(同副社長)

2019年01月31日 公開 2019年02月26日 更新

トイレや事務所の修繕から住宅手当の新設まで、働く環境を改善


松﨑秀雄社長

――経営理念を伝えるためにどうやっておられるのか、苦労したお話も交え、お聞かせください。

松﨑社長 わが社の経営理念は、「全従業員の物心両面の幸福を追求する」と「インフラパーツの創造を通して、人類・社会に夢と感動を提供し続けます」というものです。その中でも前者の「全従業員の物心両面の幸福を実践・実行しましょう」と考え、まず動きます。

新しくグループに入って頂いた会社の中には、今まで業績が悪くて、ボーナスも払っていない、昇給もないところがあります。それをまず、きちんと支払うようにします。

さらに福利厚生の一環として慰安旅行を始めてみたり、トイレや休憩所、事務所スペースが汚かったり、設備も古くさかったりするのを修繕しリニューアルさせ、職場環境を徹底的に良くします。

このようにして、新たに仲間になった皆さんに、「全従業員の物心両面の幸福を追求する」はお題目ではなく、きちんと実現できることだと認識してもらう。一方で「その原資は皆さんが儲けた利益がもとになる。だから、自分たちのために利益を上げる仕組みに変えよう」と訴えるのです。

――なるほど。「自分たちのために利益を上げる」ですか。

松﨑社長 業績が悪い会社というのは、自責ではなく他責の文化がまかり通っています。「会社の業績が悪いのは経営者が悪いから」とか「どうせ、やってもしょうがない」などと文句を言う人が多い。

そうではなくて、皆さんで会社を良くして、その結果が福利厚生の充実や昇給につながる。つまり、「皆さんが上げた利益を会社は皆さんに全部還元していく」ということを、少しずつでも納得させていく。そうすれば、「ならば頑張ろう」と変わっていくのです。

――たしかにそれで皆さん、やる気を出すと思います。そのうえで、いよいよ経営改革への取り組みですね。アメーバ経営といえば管理会計が肝ですが、いままでやったこともない仕組みを入れることに、抵抗は生まれませんか?

松﨑副社長 M&Aをした会社の中には、月次の決算もやっておらず、年に一度決算書を見て、「あ、今年は儲かったのか」という意識のところもありました。なりゆきでやっていて、利益は出していたので、それで良しとされていたのです。

それが「部門別採算を実施し、しかも数字を毎日チェックせねばならない。販売先に対しても、与信管理をしっかりする必要がある」という形に変えようとしたので、最初はそうとう抵抗感を抱いたと思います。

また現場から、「ここまで頑張らなければならないんですか。自分たちはいままで、これしかやっていなかった。でも回っていました」との不満が出たりします。おそらく仕事の質も量も、これまでが100だったとすれば、150くらいにはなっているからでしょう。

当社の求めているレベルまで達するのが非常に大変だということは、どのグループ会社の人も言いましたね。

これに対して、「皆さんの頑張りによって利益が増えた分は、もちろん還元します。手当も充実させます」といって納得して貰っています。それらによってアメーバ経営は、徐々に浸透していっているところです。

――具体的に、どのような手当を出しておられますか?

松﨑副社長 あるグループ会社に対して今年、住宅手当を新たに設けました。さらには家族手当を増額しました。

さらに別の会社では、男女が別々になっていた給与体系を、より良い形に統一したりもしました。それを不思議がられたのですから、世の中にはいろいろな価値観の会社があると、勉強になりましたね。

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