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40代になったら「やめるべきこと」 学歴の差を逆転した"習慣化"

佐々木常夫(元東レ経営研究所社長)

2019年02月07日 公開 2022年04月25日 更新

「やらなくていいこと」はどんどん捨てていい

40代というのは、たしかに忙しい。しかし、「忙しい」「時間がない」が口グセの人が多すぎるとも思います。「部下に仕事を任せなさい」と言っても、「会社の業績が伸びず、人を減らされているので、上司の自分がやるしかない」などと反論が返ってきます。

でも、人手不足は問題の本質ではありません。仕事が忙しい本当の原因は、その人が「やらなくていいこと」をやっているからです。

たいていの人は、上司に指示されたり、前任者から引き継いだりした仕事を、何も考えずそのままやろうとします。しかし、そこには、必ずムダが存在します。それを見つけ出し、どんどん捨てなければ、ひたすら仕事に追われる毎日から抜け出せません。

私は東レ時代に赤字の部署や関連会社を何度も再建してきましたが、それを実現できたのは、徹底してムダを捨てたからです。

倒産の危機に陥った取引先に送り込まれた時は、不採算事業や価値の少ない仕事を切りました。同時に人員を4割削減しましたが、余計な仕事がなくなったので、残った人員だけで会社は回り、しかも売上げは落ちませんでした。

東レで営業課長になった時も、従来の仕事のやり方を見直し、仕事を減らしました。

それまで部下たちは、簡単な打ち合わせのためにわざわざ地方へ出張していたのです。私はそれを止めさせ、代わりに毎週同じ曜日の同じ時間にお客様へ電話で定期連絡を入れるよう指示しました。

これで出張の必要はなくなり、課全体の仕事量も減ったので、私は営業スタッフを3割削減しました。部長は「人を増やせと言われることはあるが、減らせと言われたのは初めてだ」とびっくりしていましたが、それは他の課長たちが「やらなくていいこと」を探そうともしないからです。

 

取捨選択ができる人の共通点とは?

「やらなくていいこと」を捨てるために大切なのは、主体的に生きることです。

会社でもプライベートでも、人に与えられたことを言われるままに何でもやるというのでは、とても自立した大人とは言えません。

今は私が40代の頃と比べて、情報量がはるかに多くなりました。ビジネスや生き方に関する本もたくさんあります。しかし多くの人はそれを読むだけで、実行には移しません。「いい話だったな」と感心するだけで終わってしまいます。

なぜかといえば、その人が「自分はこんな人生を送りたい」というミッションを持っていないからです。それがあれば「ミッションを達成するために何をすべきか」が明確になり、必要な情報を取捨選択して、行動に落とし込むことができます。

自立した人間は、自分にとって大切なものを選び取り、ムダなものを捨てる力を自然と身につけているのです。

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