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朝ラーメンに朝寿司!? 京都人オススメの朝食10選

柏井壽(作家)

2019年03月19日 公開 2023年02月15日 更新

<<生粋の京都人であり、食通として知られる作家・柏井壽氏。柏井氏の新刊『京都の通りを歩いて愉しむ』より、京都旅に役立つオススメ朝食スポットを紹介する。

京都人が愛する定番から、知られざる名店まで、ぜひ足を運んでみてほしいお店ばかりだ。>>

※本稿は柏井壽著『『京都の通りを歩いて愉しむ 〈通〉が愛する美味・路地・古刹まで』(PHP新書)より一部抜粋編集したものです。
※本稿のに掲載された情報は2019年3月時点のものです

 

イノダコーヒや知恩院近くの喫茶店でモーニング

お昼はどこへ行くか。夜は何を食べるか。昼と夜はしっかり計画を立てていても、意外に抜け落ちているのが朝の時間です。

真冬はともかく、春から秋にかけての京都は、朝もしっかり愉しまないと、もったいないのです。

朝の座禅や写経、朝ヨガといった体験は最近の京都旅でも人気を呼んでいます。そんな清々しい体験をしたあとに、京都らしい朝食を摂りたいのですが、お奨めはありませんか。そう訊ねられることも多くなってきました。

一番のお奨めは、昔ながらの喫茶店でのモーニングです。

代表的なお店は『イノダコーヒ』ですね。もしくは『前田珈琲』や『喫茶チロル』など。そのほかにも京都の町中にはたくさんの喫茶店がありますし、そのなかの多くが朝早くから営業しています。

名古屋のようにお得なモーニングセットのようなものはあまり用意されていませんが、トーストとコーヒーだけでも充分愉しめます。

たとえば名刹『知恩院』のすぐ近くにあって、清流白川にもほど近い『やまもと喫茶』の〈トーストセット〉はサラダとドリンクが付いて550円です。

ハムエッグをプラスすると650円。シンプルなモーニングセットなのが京都らしいところですね。このお店では〈焼たまごサンドセット〉も人気です。ふわふわオムレツとキュウリが挟んであって、ボリューム満点ですがこちらは800円です。

もしくはパン屋さんでパンを買ってきて、鴨川の河原や京都御苑のなかの庭園などで食べる朝ご飯もいいですね。和のイメージが強い京都ですが、京都人のパン好きはよく知られています。

人気のパン屋さんもたくさんありますが、街なかの小さなパン屋さんでも美味しいパンを食べることができます。お店探しのヒントは香りです。パンを焼くときの独特の芳ばしい香りが漂ってきたら、鼻を鳴らして元をたどってみましょう。きっとパン屋さんが見つかるはずです。

 

京都人が愛する「いつものパン」

新旧入り乱れて、たくさんのパン屋さんがしのぎを削る京都なので、どこをお奨めするか迷ってしまいますが、わざわざそこを訪ねるのではなく、市内のあちこちにあって、買い求めやすい『志津屋』をお奨めしておきましょう。

今回ご紹介した通りのなかでも、丸太町通、二条通、御池通、三条通、四条通と、あちこちの通りに店を構えていますから、迷うことなく買うことができます。

古くからの京都人なら誰もが一度は食べたことのある〈カルネ〉が朝食にはピッタリです。しっかりした歯ごたえのある、ドイツ風のフランスパンにハムとタマネギが挟んであるだけのシンプルなものですが、爽やかな味わいが朝の目覚めによく合います。

もしくは〈ふんわりオムレツサンド〉も朝食向きです。京都の出汁巻き玉子を思わせるような、あっさりしたオムレツがたっぷりと挟んであって、食べ応えも充分です。

〈元祖ビーフカツサンド〉と半々になったセットもお奨めです。近ごろでは、行列のできるパン屋さんもあるようですが、真っ当な都人は、そんな面倒なことはせず、いつもの『志津屋』さんで、いつものパンを買って愉しみます。

 

京都駅近くで「朝からラーメン」

パンのような、あっさりした朝食では物足りないとおっしゃる方にお奨めしたいのは朝ラーメンです。

札幌や博多のような特徴的な名物ではありませんが、京都は美味しいラーメン屋さんがたくさんあることでも知られています。

見た目も味もあっさりしているのが京都の特色のように思われますが、ことラーメンに関しては、そんなイメージとは正反対で、見るからに濃厚で、味もこってりしているのが京都のラーメンの大きな特徴です。

JR京都駅からも徒歩圏内にある二軒のラーメン屋さんにできる行列は今や京都名物といってもいいでしょう。

京都駅を出て、塩小路通を東に歩き、高倉通の角を南に曲ると、きっと行列が見えてくるはずです。手前北側が『新福菜館本店』、南隣が『本家第一旭たかばし本店』。

どちらが美味しいまずいではなく、それぞれに味わいが異なり、どちらもたくさんのファンが付いています。共通して言えるのは、京都イコール薄味、というイメージとはまったく異なる味わいということです。

前者は見た目が黒々として、いかにもしょっぱそうに見えますが、食べてみると思いのほかあっさりしていることに驚かれることでしょう。後者は色目こそ淡いものの、屋台風の濃密な味わいはしっかりコクがあって、一度食べるとクセになります。

街なかにもたくさんのラーメン屋さんがある京都ですが、朝ラーメンとなると、この二軒に限ると言ってもいいでしょう。

 

定食からお寿司、すっぽんまで。和食の朝ご飯

京都の朝ごはんと言えば、和食の朝粥も有名ですね。

『南禅寺』の近くに店を構える老舗料亭をはじめ、京都の街のイメージにピッタリあうお粥は、あちこちのお店で味わうことができますが、お手ごろとは言えない価格ですし、夏限定というお店も少なくありません。京都ではお粥はどうやら夏の風物詩的な存在になっているようです。

真夏になると、あちこちのお寺で〈暁天講座〉という催しが開かれ、早朝から大勢の善男善女で賑わいます。法話や講話を聴いたあとに、朝粥を愉しめる〈暁天講座〉も少なくありませんので、一挙両得を狙うのも悪くないかと思います。

手軽な値段で和食の朝ご飯を味わえるお店をまず二軒ご紹介しておきましょう。

一軒は花街宮川町の細道に店を構える町家カフェ『ろじうさぎ』。ここでは、いわゆる京のおばんざいふうの〈京の朝ご飯〉が食べられます。街なかでの朝食なら、ここが一番のお奨めです。

炊き立てのご飯に、焼魚か煮魚、出汁巻き玉子と小鉢がふたつ、お味噌汁とお漬物が付いて900円というのは、とても良心的な価格だと思います。最近は人気も高まってきましたので、できれば予約をしておいたほうがよさそうです。

もう一軒は北山大橋の東畔から少し北に上ったところにある『花梓侘』です。

和菓子のようなビジュアルの〈つまみ寿し〉が人気の店ですが、最近始まった朝ご飯も人気のようです。

〈朝の玉手箱〉は鮭の西京焼きや、宮島の焼穴子、小海老の天ぷらなど九種類の具材を、おにぎりにして食べる趣向で、お茶漬けにもアレンジできて、出汁巻き玉子と生麩の味噌汁、デザートのアイスクリームが付きます。

〈朝のつまみ寿し〉はお店名物の〈つまみ寿し〉が十貫、生麩の味噌汁と、手作り上生菓子が付きます。どちらも2000円ですから手ごろな価格で朝からご馳走が食べられますね。こちらも小さな店ですから予約が無難でしょうね。

せっかくの京都だから、朝から贅沢なご飯を愉しみたいと思われる方に、とっておきの贅沢朝食も紹介しましょう。

『京都ホテルオークラ』に『入舟』という和食のレストランがあるのですが、ここでは1日3組限定ながら、〈すっぽん小鍋のこだわり朝食〉というメニューがあって、朝からすっぽん鍋という贅沢を味わえます。

京都には老舗のすっぽん鍋専門店があって、世評も高く美味しく味わえますが、決して安価ではありません。『入舟』のそれは5000円(税・サービス料別)。朝食と考えると高価ですが、すっぽん鍋と考えると値ごろだと言えます。小鍋とは言え、しっかりすっぽんが入っていますから。

パン屋さんのパン、喫茶店のモーニングから、すっぽん鍋まで、京都の朝ご飯は多くの選択肢があります。昼と夜ばかりでなく、朝の食も選び分けて愉しんでいただきたいものです。

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