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モラルが高く、失敗を恐れない(自立・自由度の高い) フェロー(社員)の力で、超高齢社会の難題に挑む豊泉家グル―プ

田中成和(豊泉家グループ代表)

2019年06月06日 公開 2019年06月07日 更新

 

人財不足に対応する2つの挑戦的な施策

――介護業界に突きつけられているのは、財源問題だけでしょうか?

田中 いいえ。もう一つ、人手不足という大きな課題を抱えています。当グループではこの問題を解決すべく、大学卒の新人を積極的に採用しています。

そのために、リクルート部隊だけで10人の専任者がいて、時間をかけて大学訪問、フェア出展などを繰り返し、地道にグループを知ってもらいながら、人財を集めています。おかげ様で今年の4月1日には、医療分野なども含めたグループ全体で65名、介護分野では28名が入社しました。来年は100名の採用を目標に、より一層リクルートに力を入れています。

ただ、当グループでは幸いなことに、大学新卒の優秀な人財に入職頂けていますが、99%が「一法人一事業」の社会福祉法人では採用がなかなか難しいかもしれません。

――その大卒新人向けに、田中代表は入社式でどんな話をされるのですか?

田中 当グループでは社員のことを、同じ志を持つ人間という位置づけで、「フェロー」と呼んでいます。そして入社式のことを歓迎式と言いますが、私はいつもそこで、「本日入職されたあなた方と私は全く身分は変わりません。同じフェローです。ただし配役は違います。

社会人を50年以上やってきている私と、1日目のあなた方が同じ配役ということは無理があります。しかし未来のあなた方は私よりも優秀であると信じています」と、メッセージを伝えています。

――今後、毎年、大卒新人がきちんと入って、育っていけば、人手不足問題は解決ですね。

田中 いえ、そう簡単ではありません。それでもまだまだ絶対数が足りないのです。

業界全体では現在、小規模な訪問介護事業所を中心に、年間100件以上、目には見えないかもしれませんが人手不足による倒産が出ています。今後も人手不足倒産が続出する危険性が高まるなか、この流れを食い止めるための対策として、介護業界では海外からの「技能実習生」の導入が決議されました。

当グループでも採用のもう一つの柱として「海外技能実習生」の導入を実践しており、本年6月ごろには第一弾の人財が来日いたします。私自身も先頭に立ち、2015年ごろからアジア諸国を回り、日本人の物の考え方や行動様式を理解できる民族がいないか、調査してきました。

その結果、ミャンマーの人々が適任という結論に至りました。その後、交渉を続け、今ではミャンマーとの密接な関係を築くことができ、定期的に「技能実習生」に来てもらうことになっています。これから4、5年以内に、のべ100名ほどの採用を考えています。

――「技能実習生」を採用する際のポイントを教えてください。

田中 採用の基準は3点です。まず1つ目は健康な人かどうか。やはり病気がちな人、不健康な人は難しいですね。体力がどれぐらいあるかということも大事です。個客を身体で支えることもあるサービスですから、握力や腕力も必要となります。

2つ目は「素直な心」を持つ人です。こちらの指導したことを信じ、受け入れて、素直に一度やってもらえることが大切です。

3つ目はバイタリティーのある人。これは私の座右の銘でもあります。1970年に大学を卒業し、社会人になったばかりのときに読んだ本が、財界の重鎮であった土光敏夫さん著の『経営の行動指針』でした。

100カ条の指針が書かれているのですが、その第1条が「全てにバイタリティーを」でした。私はその文章に強く刺激を受け、今日まで、その考え方を大切に、仕事をしてきました。新しい仲間もぜひ、そのような気持ちで働く人であってほしいですね。

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自立度を上げて、自由度を高める仕事こそを

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