モラルが高く、失敗を恐れない(自立・自由度の高い) フェロー(社員)の力で、超高齢社会の難題に挑む豊泉家グル―プ
2019年06月06日 公開 2019年06月07日 更新
自立度を上げて、自由度を高める仕事こそを
――「豊泉家グループ」では、入ってきた人材をどのように育てていくのですか?
田中 まずは当グループの「土壌」である「豊泉家モラル」、つまりフィロソフィを、しっかり勉強してもらいます。そうでないと、仕事上で厳しい状況に追い込まれたとき、根腐れして枯れてしまうおそれがあるからです。
その「豊泉家モラル」に基づくフェロー教育の重要なポイントは、「自立・自由度の高いフェローをつくる」ことです。そして自立と自由、どちらを先にやるかといえば、「自立度を上げれば自由度が自動的に上がるので、自立度を先に上げるように」と伝えています。
また、自立度100%は、自責度100%と同じことを意味します。他責ではなく常に自責で物事を捉えることを、意識してもらっているのです。私はフェローに「他責にしたら損やで」と言います。
他責にした瞬間に、問題解決を図ろうと努力しなくなるし、勉強もしなくなる。苦労を乗り越える経験もできない。それは人間にとって損以外の何物でもありません。
「世の中のほとんどの人は他責にしたいのだから、それを取りに行け」とも伝えています。若い時の苦労は買ってでもせよとよく言われますが、買う必要さえもない。無理難題を他人から譲ってもらえばよいのです。
――自責度100%で考え、仕事をしていくのは、けっこう大変ですが、成長できますね。
田中 さらに、フェローに良くお話しするのは「利他の心」。京セラ創業者の稲盛和夫さんがおっしゃっているとおりで、利他の心はほんとうに大切です。
ただ、当グループでは、「利他の心を51%以上、利己の心は49%以下にしなさい」と伝えています。じつは51%にするのが結構大変で、そこまで到達できれば、あとは簡単に90%ぐらいまで利他の心が上がっていくと、私は思います。
加えて「志なき者は人に非ず」の言葉通り、少しでも世のため、人の役に立って、人生を全うするという気概で頑張ってほしいと思います。
――その他、実務面での仕事の進め方について、伝えていることはありますか?
田中 「トライアル・アンド・エラー そして名誉挽回でもう一度」という仕事の仕方をしなさい、と伝えています。これは『豊泉家モラル手帳』の8条に書いてあります。
当グループでは仕事の成果を、減点主義ではなく加点主義で図ります。特に新卒のフェローに言うのは、「あなた方はいまゼロ点。良い仕事をしたら点が足される。一方で、エラーしても引きようがないから、安心してトライアル・アンド・エラーを繰り返しなさい」と。
そしてエラーしてもよいが、必ず名誉挽回で再トライすることが肝心です。「リカバリーショット」と言いますが、リカバリーをどうするのかが、実は一番大切です。
そこでのキーワードは「スピード」。ゆっくり考えるのではなく、すぐに取り掛かる。後ろを向いて、「あのエラー、なんでしたんやろ」とじっくり悩んでいる暇はないのです。