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モラルが高く、失敗を恐れない(自立・自由度の高い) フェロー(社員)の力で、超高齢社会の難題に挑む豊泉家グル―プ

田中成和(豊泉家グループ代表)

2019年06月06日 公開 2019年06月07日 更新

 

「死に場所がない」47万人を救うために

――それでは最後に、事業展開の今後のイメージをお教えください。

田中 冒頭で述べたように、今後、介護事業だけでは経営が行き詰まる可能性があります。そこで経営の効率化と大規模化を図っていきたいと考えています。

効率化について、現在、介護事業に関しては、アメーバ経営をベースにした「チーム経営」を順調に運用し、管理会計を徹底していますが、今後はこれを医療事業でも積極的に導入・活用していきたいと考えています。グループ全体の利益率15%を目標に、さらに効率的かつフェローを大切にする経営を行います。

一方で、大規模化については、グループ内では医療事業が大きくなり、介護事業の2倍の売上規模に成長しました。

もともと茨木市に、慢性期・緩和ケアを中心とした「ほうせんか病院」を経営していましたが、そこから北に250メートル離れたところにある「北大阪けいさつ病院」の事業譲渡を受け、「北大阪ほうせんか病院」として2019年4月より事業を開始しました。

これにより「ほうせんか病院」と合わせてベッド数500床の総合病院として展開し、さらなる事業拡大を目指します。

そして次に「CIS実現」。CISとは「地域包括ケアシステム豊泉家モデル(Community-based all-Inclusive care System)」の頭文字をとった略称です。

先ほど述べました、医療部門の拡大を活かし、さらに予防や在宅の医療・介護という在宅生活支援サービスにも、積極的に取り組み始めています。そこに介護事業を紐づけて、グループ内でシナジーを生みだしていきます。

これらを軌道に乗せ、2030年には、フェロー数3,000名という規模にまで持っていくつもりです。大阪府の北摂7市に、日本最高のヘルスケアサービスを提供するというビジョンを実現させたいと考えています。

――日本最高のヘルスケアサービスを提供するというビジョンですか!

田中 そのためにも、予防事業については特に力を入れていきます。
日本のシニアについての問題は深刻です。統計では2030年、団塊の世代の中核が83歳になり、平均寿命を迎えます。まさに「多死時代」です。

そしてそこでは47万人の「死に場所がない」と言われています。死に場所がないとは、看取るためのドクターや病院のベッドが大幅に不足し、誰にも看取られず死なざるを得ないということです。

これを何としても防ぐために、在宅の医療・介護という在宅生活支援サービスを強化しますが、一方でHAPという新予防事業の展開にも力を入れています。将来の病気を未然に防ぐ「早期発見」を使命とし、47万人のうちの何万人かは、死ぬのを少しでも先に延ばしたいと考えています。

具体的な新予防事業としては、「HAP健診」で通常の医療健診に加えて、新予防健診や認知健診を実施。生活習慣病や老年症候群の9要素を測定分析し、個々人の健康状態を徹底的に把握します。

その後、専門家が問題点と、その改善策を具体的に提案して、その実行した結果を継続的にチェックし改善に導くことで、健康寿命を延ばしていきます。

――予防は、まさに今の時代のテーマ。どんどん進められることを期待します。

田中 予防に関してもう一つ。「要支援」1と2の方を「自立」に戻す事業を、同じ「新予防」というテーマに基づいて、スタートしています。

先に「要支援」1と2、さらには「要介護」1の方で介護保険認定者の50%ほどを占めると言いましたが、この方々は、頑張れば「自立」に戻れる可能性があります。そのサポートに乗り出しているのです。

普通に考えますと、健康にする、予防するということは、当グループの個客を減らす仕事です。介護施設にしても病院にしても、個客が減ると収益面では大変困ります。

でも、それどころではないのです。2000年に比べて介護保険認定者が3.64倍になっていて、費用の縮小について、問題の根本的な解決が求められているのです。

――民間の立場にあって、高齢化社会の問題解決に挑戦する姿勢、素晴らしいです。

田中 とにかく、日本の超高齢社会における介護・医療問題について、「豊泉家グループ」は愚直に、地道に、徹底的に解決策を実現し続けます。自らが出来ることをしっかりとやっていけば、真似てくれる他の法人が出てくるかもしれません。

現在、われわれは大阪府を中心に、隣県の兵庫県などでも事業展開する予定ですが、今後、関東や中部、九州など他の地域で、「大阪で豊泉家グループが面白いビジネスモデルを展開している」と注目してくれる法人が出てきてほしいですね。

同じようなビジネスモデルを共有する仲間のネットワークが広がれば、日本は変わっていくはずです。それを楽しみにしながら、私自身もまだまだ現役で頑張っていきます。

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