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生き方

「老後2000万円」時代に青木雄二氏の言葉が身にしみる

青木雄二(漫画家)

2019年08月19日 公開 2019年08月20日 更新

 

冷静に考えれば分かることなのに

ゼニを儲けるためには、損をしたらあかん。ヘタを打たんようにする基本が、うまい話には乗らない、ということや。

「ナニワ金融道」には、うまい話にホイホイ乗って、大失敗する人間がぎょうさん出てくる。地位も名誉もゼニも、すべてを失った代表格は三宮教頭やろうな。

(注:鈍才小学校の教頭・三宮損得は、先物取引の電話セールスにひっかかってしまう。セールスマンの破目からの電話に、「けっこうです」と、曖昧な対応をしたせいで、勝手に買い注文を出されてしまった<第八巻>)

婿養子の三宮教頭は、はじめはセールスマンの破目にはめられるが、たった1日で12万円の利益があったと聞いて、スケベ心が出てしまう。

50万円の投資で1日で12万円の儲け。これが本当やったら確かにスゴい。けれども、ここで冷静になって考えてみるべきやろう。

そんなうまい話をほかの人間にわざわざもってくるやつがどこにいるやろうか。他人の家に電話をかけてきて、ラクに儲けませんか、といってくるが、そんなに儲かるのやったら、そもそも自分でやるはずや。

もし、本当に儲かるのやったら、できるだけ人に教えないほうが儲けは増えるはずなのに、話をもってくること自体が不自然、と気づくべきや。第一、そんなに割りのいい取引があるのなら、そのセールスマンが、いつまでもセールスマンなんかやっているはずがないやろ。

うまくやれば、月に100万円にだってなるはずやから、いつまでもサラリーマンとして外回りの営業で汗水たらして働く必要もなくなるわけや。

 

ラクして儲けようと考えてしまうと落とし穴にはまる

だいたい、ラクをして儲けようという考えが甘い。もし、なにかで一時的に儲かっても、絶対に損するときがくる。いつまでもいいときは続かない。それが終わったときに、自分にはなにも残っていないことに気づく。

または、だれかを犠牲にしなければ、自分の取り分が保証されないという吸血鬼のようなシステムの中に取り込まれる。教頭は、そんな仕組みも知らなかった。

どちらに転んでも、ラクしてゼニを手にしたという腐りきった経験しか残らない。もしそれで、家と土地を手に入れることができたとしても、一生ラクに暮らせると思ったら大間違いで、必ずしっぺ返しがくる。

少なくとも、だれかを陥れて手に入れたものやから、心のどこかに後ろ暗い部分を抱える。それでは、とうてい幸福とはいえないな。だれかが、この世のどこかで必ず自分を恨んでいるのやから。

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