名刺よりも目の前の相手の人間性をよく見ること
(C)青木雄二
鉄則としては、こんな名刺、相手が大統領と名乗ったって信用しない。すぐに電話をかけて、その電話番号と企業が実在するかどうか確認する。そのとき、「全宇宙ワールド商事さんですか?」とはいわずに、「もしもし」とだけいうのや。
一本の電話で数社の名前を使い分けている代行業者だったら、自分から「はい××商事です」とは名乗れないわけや。
もし、その番号で「はい全宇宙ワールド商事です」と電話を受けるようだったら、その住所にいってみる。それでもひとつの事務所で数社が入居していることもあるので、法務局にいって会社登記されているかどうか確かめる。そのくらいしないと信用することはできない。
ボクが昔付き合いのあったある会社は、電話番号ごとに違う会社名を名乗っていた。外線一番にかかってきたら「はい、ドライブ企画です」と出て、二番だと「モードカンパニーです」と応対するのや。
この手やと、電話回線の数だけ会社をでっちあげることも簡単にできる。つまり、会社名を自分から名乗ったからといって、そう簡単に信用はできないことになるのや。
なにしろ、今や名刺はパソコンでも作れるし、10分とか30分の簡単な名刺印刷もある。それどころか、ゲームセンターには、自動名刺製作機ともいうべき機械まである。これは、自分の好きなデザインを選んで、その場でゲーム感覚で名刺ができあがる機械や。
こうなると名刺には、もはや権威の象徴としての働きはいっさいないということや。
余談やけど、以前、環境庁(現・環境省)の職員の名刺をもらったことがある。なんとそれは、カレンダーの裏にコピーして作ったものやった。さすがに環境庁だけあって、使用済みの紙を再利用した、ということのようや。
確かに「この名刺は再生紙を利用しています」と、余分な費用をかけて、わざわざ裏面に印刷してあるよりわざとらしくないが、仕事がヒマでこんなもんを作っているんと違うか、と勘ぐってしまう。
とにもかくにも、渡された名刺に気を取られるより、目の前の相手の人間性をしっかり見るようにするべきやろうね。