“優秀な学生”が会社で5年働くと「凡人に変わり果てる」理由
2019年11月26日 公開 2024年12月16日 更新
会社が逃げ切り世代以下の個人の人生を保証してくれなくなった今、嫌な思いや納得感を抱えたまま会社に残る必要があるのか。そんな考えが頭をよぎっても、転職や独立するような自信もない。「このまま、会社にいるしかないのか? 」と悩みや焦りを感じている人は少なくないだろう。
「地味な起業」を実践することで、今の会社にいても、辞めても一生食いっぱぐれない。そんな生き方を目指すべきと語る田中祐一氏は、「普段やっていること」をお金に変え経済的に自立する新しい働き方を提案し注目を集めている。
ここでは田中氏の著書より、自身の経験からもとに、今の時代に勤め先の収入だけに頼る働き方がリスクをはらんでいることを示した一節を紹介する。
※本稿は田中祐一著『僕たちは、地味な起業で食っていく』(SBクリエイティブ)より一部抜粋・編集したものです
会社で得られるものは、その会社で生きるためのスキル
僕自身も、社会人としての始めの一歩は会社員でした。大学卒業後、IT開発大手の会社に就職した僕は、システムエンジニアとして働いていました。
仕事は忙しく、土日に出社したり、家に帰らず寝泊まりしたりすることもありましたが、チームを取りまとめて、お客様と一緒に困難を乗り越えていく経験には楽しさがありました。何より、仕事にやりがいも感じていたのです。
でも、やっぱり、ときどき不安に思うときがありました。
「今いる会社でこのまま働き続けて、将来的に大丈夫なのかな?」
「このご時世、会社がこの先一生面倒を見てくれるわけじゃないし……」
「会社で働く以外に、何かやったほうがいいんじゃないかな?」
「人口減少、産業も全般的に右肩下がりで、そもそも、日本そのものがやばい? 海外も視野に入れて、どこでも働けるようにならないといけないかも……」
そんなふうに、モヤモヤと考えることがあり、自分なりにいろいろと行動していました。
会社内で自虐的によくいわれていたのが「この会社にずっといると、この会社でしか生き残れないスキルだけが手に入る」ということです。
たしかに、会社で長く働けば働くほど、働きやすくなるのは事実です。でも、それは、調整能力とか政治力といった、「社内限定」のスキルを身につけた結果。会社の外に一歩出て、環境が変わった瞬間から通用しなさそうなスキルばかりです。
努力していろいろなスキルを身につけても、それがあくまで「社内」にしか通用せず、転職市場で、「市場価値が低い人材」と評価されてしまえば、将来的な展望が閉ざされてしまいます。
もちろん、中には転職して活躍している先輩もいました。でも、自分にいまいち自信が持てない僕は、転職しても今よりも条件がよくなる可能性は低いと思っていました。
転職を一度でもしてしまうと年収や退職金が下がる確率が高い、という統計データも見ていました。だから、悲観的な気持ちになりました。