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日本との差はここにある…"投資大国"アメリカの高校の「お金の授業」のその一幕

アンドリュー・O・スミス (著), 桜田直美 (訳)

2020年02月08日 公開 2022年05月25日 更新

 

自分の資産状況はどうすればわかるのか

自分の資産状況はどうやって把握すればいいのだろうか。その方法のひとつは、「個人のバランスシート」を作ることだ。 いちばん簡単なバランスシートの作り方を紹介しよう。図1・1を見てほしい。

まず紙を1枚用意して、真ん中に縦に線を引く。左側に自分が所有するものをすべて書き、それぞれの価格も書いて、合計する。

そして右側には借りているものをすべて書き、ここでもそれぞれの価格を書いて合計する。そして紙のいちばん下に、資産の合計から負債の合計を引いた額を書く。これがあなたの「純資産」だ。

あなたがまだ10代なら、バランスシートの内容もシンプルだろう。持っているものも、借りているものもまだ少ないからだ。資産の欄に入
るのは携帯電話と洋服ぐらいで、あとは銀行預金を持っている人もいるかもしれない。資産の合計はだいたい1000ドルぐらいだ。

そして兄への借金が25ドルなら、純資産は975ドルということになる。

しかし、大人になるにつれて資産状況はもっと複雑になり、持っているものも借りているものも多くなる。

図は、大学を出て5年たった架空の27歳のバランスシートだ。

この人物が仕事を続け、奨学金の返済と貯金を進めれば、それにつれて純資産も増えていく。

定期的に自分の純資産を計算することは、自分の資産状況を把握するひとつの方法になる。

しかし、言うまでもないことだが、純資産があなたの価値のすべてではない。人としての価値は、数字で表すことはできない。

お金はたしかに大切だが、他のすべてを犠牲にして追い求めるのは間違っている。経済基盤がしっかりしていれば、いい人生を送る足がかりになるだろう。しかし、お金はあくまで手段であって目的ではないということは、絶対に忘れないでほしい。

 

なぜお金を社会に還元するとよいのか?

慈善活動やボランティアを人生の目標のひとつにする人はたくさんいる。あなたはもしかしたら、すでにそういった活動に関わっているかもしれない。

高校などでボランティア活動が課題に入っていたという人もいるだろう。大学でも、地元の恵まれない人のために働くボランティア活動を学生に紹介しているところがある。

被災地での救援活動、献血、フードバンクのために缶詰食品を集める、炊き出しに参加する、ホームレスのシェルターで働く、老人ホームの慰問など、自分の力を社会に還元する方法や、恵まれない人たちを助ける方法はたくさんある。そして、与えることができるのは、自分の時間や労力だけではない。お金を差し出すのも立派な慈善活動だ。

社会に還元することはなぜ必要なのか。慈善活動や寄付の大きな利点のひとつは、いい気分になれることだ。他人を助けるのはとても満足感の大きい行為であり、自分が誰かの役に立っていると感じることができる。

若い人たちなら、おそらくお金よりも、時間やエネルギーのほうがたくさんあるだろう。そのため当面のところは、お金を寄付することよりも、体を動かす慈善活動になるかもしれない。

それでも、少額でもかまわないので、赤十字などの困っている人や恵まれない人を助ける団体に、若いうちから寄付をする習慣を身につけておいてもらいたい。

年齢を重ねて収入が増えれば、寄付金の額を増やし、人々の人生にさらに大きな影響を与えることができる。慈善活動は人のためになれるということ、それ自体が見返りだ。

 

お金は目的ではなく、手段であることを忘れてはいけない

お金がないとたしかに大変だ。とはいえ、お金が中心の人生を送るのも間違っている。

今から100年前、アメリカ人の大部分は、現代の貧困ラインより下の暮らしをしていた。

それに、水洗トイレや冷蔵庫といった便利なものも存在しなかった。生活はきつかったが、それでも人々は家族の絆に守られ、友人やご近所のコミュニティに参加し、意義深く充実した人生を送っていた。個人を超えた、より崇高なものを信じていたのだ。

本当に大切なのは喜びと幸せに満ちた意義深い人生を送ることであり、お金はその手段でしかない。お金はたしかに大切だが、他のすべてを犠牲にしてまで追い求めるのは間違っている。

経済基盤がしっかりしていれば、いい人生を送る足がかりになるだろう。しかし、お金は手段であって目的ではないということは、絶対に忘れないでもらいたい。

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