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人気急増中! 盛岡の動物園で見られる「ピューマ親子4頭」の微笑ましい日常

山本祐子(盛岡市動物公園ZOOMO飼育係)

2026年07月28日 公開


写真:昨年8月、放飼場デビューしてすぐの頃(撮影:千潮祥路)

昨年6月10日に岩手県盛岡市の動物園で5頭のピューマの赤ちゃんが生まれた。しかし生後3日目に2頭が死亡。残る3頭は人工哺育や相次ぐケガに悩まされながらも、今年無事に1歳の誕生日を迎えることができた。子どもたちの誕生と成長を記録した書籍『ピューマのかぞく』(辰巳出版)も発売され反響を呼んでいる。ピューマ親子と伴走してきた盛岡市動物公園ZOOMOの飼育係・山本祐子さんに出版までの経緯と現在のピューマ家族の様子を聞いた。

※前後編の後編です

 

ピューマはあまり知名度の高い動物ではなかった

――人工哺育から家族の元に戻すまでの過程をSNSで詳細に発信し、日本全国からファンが見守っていたということですね。

生後すぐから、当園の公式SNSで【ピューマを応援して下さる皆様へ】と題して、ピューマ親子の様子を発信してきました。

ピューマのことはもちろん、飼育係の仕事や動物園の役割を知ってほしいという思いもありました。SNSでの発信には広報担当者も伴走してくれ、広報のこだわりで毎日17時27分(いいなニーナ)に投稿していたんです。この発信を始めてから、Xではフォロワーが約1万人、Instagramでは約2万人増加しました。

――6月10日に刊行された書籍『ピューマのかぞく』も、SNSの投稿がきっかけだったとか。

はい。出版社の編集者が毎日発信を見てくださっていて、親子の記録を1冊にまとめたいと打診を受けました。本書には、当園から提供した写真以外にも、ピューマ親子のファンが撮影した写真が多数掲載されています。ニーナが来園した当初からピューマたちを応援してくれている方、SNSをきっかけに遠方から足を運んでくださった方、何度も何度も来園して子どもたちの成長をカメラに収めてくださった方、本当にたくさんの方のご協力があって、1冊の本になりました。

人工哺育をしている間は、私は動物病院にこもりきりのことも多く、屋外放飼場の様子はあまり見ることができませんでした。特に、健康に育っていたオス2頭に関しては、いちばん可愛い盛りを見逃してしまったかなという思いもありました。でもこうして、皆さんが撮影した写真で、当時の様子を知ることができ、感謝の気持ちでいっぱいです。

数年前まで、当園でもピューマはあまり知名度の高い動物ではありませんでした。その「ピューマ」だけで1冊の本になるなんて、思いもよらないことでした。

 

亡くなった2頭の子どもにも名前がつけられた

――3頭の子どもたちの名前が特徴的ですね。由来などを教えてください。

メスが「キャフ」、オスが「ツィー」と「シェダル」という名前です。そして生後3日で死亡した2頭にも「ルフバ」「セギン」という名を付けました。

これはカシオペヤ座の5つ星に由来しています。カシオペヤ座は、古代から方角や天体観測の基準として利用されてきた北極星を探すために重要な星座です。ピューマの子どもたちが、これからの国内ピューマの大切な道しるべとなって命を輝かせてくれることを願って名付けました。

当園では、過去には動物の愛称を公募することもありましたが、近年は飼育係が命名することがほとんどです。今回も私が考えた案を、社内会議で協議して正式決定という流れになっていました。会議では、亡くなった子どもたちに名前を付けることの是非も議論されましたが、ニーナが国内初・国内最多となる5頭の子どもを生んだ記録として名前を残したい、そして2頭が生きた証を残したいという強い希望が、最終的に叶いました。

6月13日はルフバとセギンの命日でした。2頭へお花が届いたり、2頭も含めた親子7頭をモチーフにしたアート作品をプレゼントしてくださったり…ルフバとセギンに思いを馳せてくださる方がたくさんいらっしゃって、とてもありがたく思っています。

 

親子4頭が一緒に暮らしている姿が見られるのもわずか


左からキャフ、ツィー、シェダル(撮影:篝火)

――キャフ、ツィー、シェダルは大きくなりましたか?

はい。シェダルとツィーは体格がよく、今では来園客から「あれがお母さんかな」と言われていることもあります。2頭の違いは鼻の色で、シェダルは茶色、ツィーは茶色の縁取りに中央がピンク色の鼻をしています。キャフは小柄なので見分けがつきやすく、また「常に何かを狙っている」ので、行動パターンでも識別しやすいと思います。


父親のタフ(撮影:カオリ)

野生のピューマは、父親は子育てに参加しないため、その生態に合わせて父親のタフは隣の放飼場でのんびりと過ごしています。ニーナは子どもたちに交じって全力で遊んだり、息子に甘えたりして、母になってもチャーミングです。


母親のニーナ(撮影:さや)

動物園に行くときに、個体の名前や、性格、行動パターンなどを意識して観察すると、普段よりもずっと楽しめると思います。最低でも10分間くらいは、同じ動物を見ていただきたいなと思います。

ピューマは子どもが1歳くらいになると、親のほうから徐々に子離れの兆候が見られるようになります。今いる子どもたちももう1歳になり、そう遠くない将来、他の動物園に移動していく予定です。親子4頭が一緒に暮らしているところを見られる期間は残りわずかなので、ぜひピューマたちに会いに来てください。本当にいろいろあった親子なので、『ピューマのかぞく』で予習をすれば、感慨もひとしおかと思います。

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