「自分は、酒もタバコもやらない!」…それでも非情な"がん宣告"の現場
2020年02月15日 公開 2020年07月04日 更新
心理学の人気講師として活躍ていた刀根健氏は、ある日、予想だにしなかった「がん宣告」を受ける。ステージ4の肺がんで、すでにリンパ節にも転移しているという厳しい状態だった。
ところが、驚くことに刀根氏は生還を遂げた。現在も講師として復帰し、日々精力的な活動を続けているという。そんな刀根氏の壮絶な体験を著した書『僕は、死なない。』では、医師からがんであること、そして5年生存率が3割だと告げられた際の自身(僕)の動揺ぶりを隠さずに記している。その一節をここで紹介する。
※本稿は『僕は、死なない。』(SBクリエイティブ刊)より一部抜粋・編集したものです
治療を始めてみないとわらからない
「ま、僕は生き残るほうの3割に入りますから、大丈夫です」
僕は自分に言い聞かせるように言い、続けた。
「5年生存率が3割だというと、大体2年後までにどのくらいの人が死んじゃうとかあるんですか? とりあえず2年頑張りましょうとか、そういうのあるんですか?」
「そうですね、まずは今の段階で言うと、抗がん剤のお薬がどれになるか、ということで違うと思います。それとあと使っていくうちに合併症、副作用っていうのが必ず出ます。
そういったなかでこれ以上抗がん剤は使えない、なんていうような合併症が出ちゃうと、またそれは話が別になってきちゃいます。
そういったことがなければ、今のところはですよ、わかっている段階では、使うお薬によっては、そのお薬を使っていて再発になった期間というのは、20カ月というお薬とかもありますし9カ月というお薬もあります。
それぞれ別なんです。それぞれが平均値なんです。9カ月のお薬を使って、次は何カ月のお薬を使っていくかというふうなんです。その組み合わせによってその平均値というのが足されていくわけです。
20カ月というお薬が第一選択になれば、平均として20カ月はそのお薬でいけるかもしれない」
「かもしれない……」
「となると、まあ2年近くは何事もなく、1剤だけで。それはわかんない。正直なところ。やってみなければわかんない」
掛川医師は自分に言い聞かせるようにつぶやいた。