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「部下の話にまったく耳を貸さない」上司への"正しいあきらめ方"

伊庭正康(らしさラボ代表)

2020年02月26日 公開 2022年06月02日 更新

 

さっさと、作戦を変える

こうなると、やるべきは作戦の変更です。
これ以上、頑張って説得することが得策とは思えません。

方法は2つ。
①さらに上の上司に相談する。
②同時に後輩に対して、「緩和のフォローアップ」を行う。

まず1つ目。上司の上司とは、課長であるなら部長。下からの助言で動かないなら、上から動かす、つまり組織の論理を利用したフォロワーシップです。

この時、上司の上司は、あなたから聞いたとは言わないはずです。部下を売るような行為は普通しないものです。それでも心配なら、「私から聞いたとは言わないでください」と伝えておくといいでしょう。


2つ目は、後輩のフォロー。後輩の精神的なケアはもちろん、時には後輩への気づきを与える役割をします。

上司が言っていることを翻訳して伝える役割です。

「上司が言いたいことはね……」「難しかった? どの辺が難しい?」といったように、フォローアップに回るのです。その後輩が上司の本意をつかもうとせずに、ただ「怖い」と言っていることが問題、ということもあるでしょう。

さて、まとめます。

頑固な上司の場合、さっさと作戦を変えてみましょう。あきらめないことをおすすめします。

職場の問題に、自然治癒はありません。悪化する前に対策を講じておきましょう。

 

岩のように変わらない 上司の考えを変えた、ある主任の方法

NASAの飛行士、マイク・マッシミーノ氏は言いました。「宇宙から眺めた地球は、天国より美しかった」と。

しかし、彼の言葉だけを聞いても、我々は感動することはできなません。

もし、上司が古い習慣に凝り固まった人だとしたらどうでしょう。

「うちの会社は絶対それはだめ」といったような、頑固な人はいませんか。

口で言ってダメなら、「見せる」ことです。

百聞は一見にしかずといいます。実際に目にすることで、心が動くことは多いもの。

これは、ハーバード・ビジネス・スクール名誉教授のジョン・P・コッター氏も言っている、リーダーシップのセオリーとして、定じよう石せきの法則。

コッター氏は言います。

人の意識を変えたいなら、「理性に訴える」より、「感情に訴えよ」と。

つまり、「見せる」ことを奨励しているのです。

コッター氏の著書『ジョン・コッターの企業変革ノート』(高遠裕子訳/日経BP社)には、こんな事例が紹介されています。

ある企業での話。その会社では、部材の発注を各工場で行っていました。

しかし、労力やコストのことを考えると、本部一括で発注するほうがメリットが大きいのは明らかでした。そこで本社は、各工場の幹部に、まずこの低いコスト意識に危機感を持ってもらおうと考えたのです。

その時の手法が、まさに「見せる」方法だったのです。

なんと、役員室のテーブルに、各工場がバラバラで発注している424種類の手袋をズラっと並べたのです。想像してみてください。テーブルの上に大量の手袋が積み上げられているわけです。かなりのインパクトを与えたことでしょう。

その時、各工場の幹部から出たセリフがこれでした。

「我々は、本当にこんなに多くの種類の手袋を買っていたのか……」

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あるホテルの主任がとった作戦

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