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社会

「一斉休校」よりも「大人が外出自粛」すべき?…専門家の試算結果

大日康史,菅原民枝

2020年03月19日 公開 2020年03月19日 更新

新型コロナの影響から各地で相次ぐ「休校」や「外出自粛」。感染拡大を防ぐ上で、こうした対策には実際どれほど効果があるのだろうか。将来、ふたたび同様の事態に見舞われた時、どのような対応が考えられるのか。

2009年、新型インフルエンザの発生直前にも、国内で同様の議論は行われていた。その折に刊行された『パンデミック・シミュレーション―感染症数理モデルの応用―』(大日康史・菅原民枝 著)は、当時の議論を振り返るための「歴史書」としての顔を持つ1冊である。

私たちは過去の経験から一体何を学ぶべきなのか。本稿では、同書の内容から、感染拡大を防ぐ上での「休校」や「外出自粛」の効果、事前の備蓄の必要性について書かれた一節を紹介する。

※本稿は、技術評論社刊『パンデミック・シミュレーション―感染症数理モデルの応用―』〔大日康史(国立感染症研究所感染症情報センター主任研究官)・菅原民枝(国立感染症研究所感染症情報センター第一室研究員) 著〕より一部抜粋・編集したものです。

※同書は作成時点(2009年4 月20 日)の見通しについてまとめたもので、その後の知見の蓄積、状況の変化、政策や見解の改訂は反映されていません。同書の内容はあくまでも筆者らの個人的見解で、国あるいは国立感染症研究所の見解ではありません。

 

2通りの「自粛」 効果を検討

「外出自粛」は、健康な人も含めて自宅にとどまり、人との接触を避けるという対策です。仮にウイルス侵入後であっても、人に感染させないという点で理論的には大幅に感染者数を減らすことが期待されます。ワクチンの生産を急ぎ、疾患に対する治療法を確立するための時間稼ぎにもつながります。

なお、外出禁止を強制する法的な根拠はありませんので、政府ができることは「自粛」の「勧告」、つまりお願いをすることができ得る最大限になります。

外出自粛を行うに際して、2種類の形態に分けて考えることにしましょう。ひとつは「休校」です。季節性インフルエンザによっても多くの学級閉鎖、学年閉鎖、休校がなされており、日本においてはなじみ深い対策です。

休校開始のタイミングについては、従来の季節性インフルエンザでは明確な基準がありませんが、欠席者数がほぼ3割を超えた時点で学級閉鎖が実施されています。

一方、パンデミック対策としての休校は可能な限り初期に、さらにその学校だけでなく地域での患者が発生する以前から休校にする必要があります。

また、流行終焉まで休校するとなると、その期間は非常に長期に及びます。その意味では、季節性インフルエンザとはまた違った実施の困難さがあるといえます。

もうひとつは「就業者の外出自粛」です。これは季節性インフルエンザでも例がないので、日本においてもなじみはありません。その実施に際して混乱は避けられないでしょう。そのため、比較的に実施可能性が高い休校と、混乱が予想される就業者とを分けて考えていきます。

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「休校」の効果は意外と薄い?

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