「常に不機嫌で怒っている上司」が部下に隠している“心の底の劣等感”
「叱る」と「怒る」は別もの
パナソニック株式会社を一代で築きあげ、「経営の神様」と呼ばれた松下幸之助は、叱咤激励が上手だったと伝えられています。
会社が発展途上であったころ、部下の社員が幸之助社長に新しい事業提案をもっていったところ、前の面談で別の社員が幸之助にすごい剣幕で怒られているのが、部屋の外まで聞こえたそうです。
外に控えていた部下は「えらい日に来てしまったな」と思いながら、恐るおそる部屋に入ると、幸之助の様子は一変しており、事業提案に真摯に耳を傾け、最後には「しっかりやってくれ」と励まされたと、後に語っています。
理性をもって演じる「叱る」は、相手に反省を促すよい手段です。しかし、感情に任せた「怒る」と区別がつきにくいのは問題です。叱ったはずの行為がパワハラと受け取られることも増えています。
将来、日常の場から「怒られる」ことが消え去れば、「叱られる」ことしか残らず、誤解もなくなります。そうした、理想的な社会を早く実現したいものです。でも、「怒られる」と「叱られる」の混同は、子どものころから始まるようです。家庭内の教育も慎重におこなったほうがよさそうですね。