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なぜ財務省は巨大な力を持ってしまうのか? 名著が明らかにした「お金の支配力」

大賀康史(フライヤーCEO)

2020年09月15日 公開 2022年01月13日 更新

 

今の時代を生きる人が学ぶべきこと

経済学の理解を深めると、社会の仕組みがわかり、その先に暗い未来が待っているように感じるかもしれません。しかし著者は決して未来を悲観していません。私たちが縮退の引力に打ち勝つ行動をしていけばよいのです。

人は現在の絶対的な状況そのものでは、幸福を認知することが難しいのだといいます。まだ現実には手にしてない未来に巨大な資産が眠っているような状態に、幸福を感じることができるようです。その「可能性による幸福」こそが私たちを希望に満ちた日々に導いてくれるのです。

会社経営でも近い現象を感じます。今成長しているという事実、将来は希望が溢れているというビジョンほど、会社を一枚岩に束ねるものはありません。私は「成長は全てを癒す」という言葉を信じています。特に小さい企業であればなおさらです。

個人でも似ているかもしれません。来年はもっと収入が上がる、海外旅行に行ける、目標に近づける、というような将来の希望があれば、私たちは幸せを実感できます。希望とともに暮らすことができれば、どのような試練にも耐えられる気がするから不思議です。

著者である長沼伸一郎氏は、物理学にバックグラウンドがある方です。そのような著者だからこそ、複雑に見える経済の法則を美しく端的に示し、直観的な理解に読者を導くことができるのかもしれません。

複雑な数式を使っていないにも関わらず、科学的な教養すらも一冊を通じて感じられます。知的好奇心のおもむくままに本書を読み進めれば、経済学の本質に近づくことができるでしょう。

そして本書の洗練された論説は「経済学の理解」を「未来を築く力」に変えて、社会をより良い状態に導くことが私たちにもできるかもしれない、という希望をも感じさせてくれるものです。

著者紹介

フライヤー(flier)

ビジネス書の新刊や話題のベストセラー、名著の要約を1冊10分で読める形で提供しているサービスです。通勤時や休憩時間といったスキマ時間を有効活用し、効率良くビジネスのヒントやスキル、教養を身につけたいビジネスパーソンに利用されているほか、社員教育の一環として法人契約する企業も増えています。(https://www.flierinc.com/)

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