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酒、薬物、ギャンブル…あらゆる依存症を経験した男性が「最後にハマったもの」

アンディ・プディコム(臨床瞑想コンサルタント)、訳:満園真木

2020年09月23日 公開 2023年12月15日 更新

世界の経済をも牽引する多くのリーダーや企業からも注目を集める「マインドフルネス」。瞑想などを通して、生き方や考え方を整えていく実践的な方法論である。

マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツ氏も、妻のメリンダ氏とともに「瞑想にはまっている」と語り、自身が懐疑的だった瞑想への信頼を深めたきっかけが、チベットの僧侶であるアンディ・プディコム氏の教えにあるという。

プディコム氏は、イギリスで瞑想普及のためのクリニック<ヘッドスペース>を開設するなど瞑想の普及のために活動を続けている。本稿ではその著書の邦訳版である『頭を「からっぽ」にするレッスン』より、そのエッセンスを紹介する。

※本稿はアンディ・プディコム著『頭を「からっぽ」にするレッスン 10分間瞑想でマインドフルに生きる』(辰巳出版)より一部抜粋・編集したものです。

 

あらゆるセラピーを渡り歩いてきた男性

トム(37歳、男性)はクリニックに来た時、「依存症のプロ」を自称していました。彼は過去15年というもの、アルコール、薬物、たばこ、セックス、ギャンブル、食べ物などの依存症になってきました。

依存症はひとつだけのこともあれば、いくつも同時という時期もありました。依存症のリハビリ施設にも何度か出入りしていて、クリニックに来た時点では、たくさんの自助グループに入っているので、週に一晩しか依存症でない友だちと会う時間もないと話していました。

ところで、念のために言っておきますが、自分の依存癖のせいで自分やまわりの人が危険だと思ったら、マインドフルネスなどに頼る前に、必ず医師に相談するべきです。

トムは何度も医者にかかり、あらゆることをためしたにもかかわらず、あいかわらず同じ依存行動のパターンに逆戻りしてしまうと感じていました。トムは独身で子どももいませんが、心から家族がほしいと言いました。

話をややこしくしていたのは、彼がどうやら自分はゲイだという結論に達していたことです。たくさんの人とつきあってきたものの、どの関係も長続きしませんでした。

多くは、トムの新しいものへの飽くなき欲求が原因でした。トムはつねに何かを追いかけていて、何かしているあいだはいいものの、やめたとたんに気が立ってイライラしてくるのです。

そこで、そのような時に気を紛らわすことができるものに頼ったのです。その中には、食べることや飲むことのように社会的に認められているものもあれば、隠さなければならないものもありました。

 

知識ではなく、思考に集中する

トムは長年のあいだにたくさんのセラピーを受けて、何もかもわかったような気分になっており、新しい考えを受け入れるのにもうあまり積極的ではありませんでした。

感情がすべて分析され、いったんばらばらにされてから、精神鑑定という形で組みなおされたような気分になるというのです。そうなるのはセラピーの時だけではありません。

10分間瞑想とマインドフルネスでも起こることがあると言います。受けた治療の中には価値のあるものもあり、自助グループは今も彼にとって大きな安心感と慰めを与えてくれるものでしたが、落胆しか感じていないような治療もありました。

いい機会だったので、私はトムに改めて言いました。結果を約束することはできないが、マインドフルネスと依存症に関して行われた研究結果については伝えられるし、ほかの人が瞑想から得たものについて、自分の経験から教えることならできると。

成功するかどうかは、彼がプログラムに従おうとするやる気と、毎日続ける根気、予断をもたず白紙の状態でのぞもうとする姿勢にかかっていると説明しました。

トムはそれに同意し、10分間瞑想の手ほどきを受け、1週間それをするという宿題とともに、かなり楽観的な様子で帰っていきました。トム自身も驚いたことに、それは思った以上に簡単で、それがまた大きな自信になりました。

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瞑想とは「何もしないこと」

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