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「自己PRなんて無い…」と悩む就活生も使える、テレビの“ずるい言い換え”テクニック

本橋亜土(番組制作会社スピンホイスト代表取締役)

2021年05月25日 公開 2024年12月16日 更新

競合商品より明らかに劣る自社製品を売り込まなければいけない。就活の自己PR欄に書くことがない――。

こんな時、ついウソをついてしまいたくなることもあるかもしれないが、今の時代、ウソはご法度。そんなときに使えるのが、テレビの情報番組などで用いられる「言い換え」テクニックだ。

ビジネスシーンからプライベートまで広く応用できるテクニックを、数々の人気のテレビ番組を手掛けてきた本橋亜土氏に解説してもらった。

※本稿は、本橋亜土 著『ありふれた言葉が武器になる 伝え方の法則』(かんき出版)の一部を抜粋・再編集したものです。

 

言い方ひとつで印象が激変する

「隣の芝生は青く見える」ということわざがありますが、青く見える「気がする」わけではなく、隣の芝生のほうが確実に青いことがほとんど、という人もたくさんいるはずです。

それは当然で、私たちの身のまわりが「良いもの」であふれているわけはありませんし、持っている能力だって、ほとんどの人が「人並み」でしょう。

もちろん、世の中には強運の持ち主もいます。それは「一番」と呼べるものや能力を持つ人です。

こんなにラクな話はありません。たとえば、業界1位のものを売るときには「売り上げ日本一の○○です!」とアピールするだけでバカ売れするんですから!  

他にも、「成績が学年トップでした」「学生時代、部活で全国1位になりました」「当店のパティシエは世界大会で1位を獲得しました」など……。

しかし、そんな例はごくわずか。ひと握りの恵まれた人だけです。

私が長年携わっている番組制作の現場もまったく同じです。私は、情報番組やバラエティ番組でたくさんの店や商品を取材してきました。

ですが、この20年間で紹介してきたその全てが「業界一」の「非の打ち所がない」お店・商品だったのでしょうか? もちろん、そんなことありません。

ところが、番組で紹介されている店は「この世で最高の店」とは言っていないものの、「最高の店」のように映っています。しかも、嘘は一切ついていません。

情報番組、バラエティ番組などジャンルにかかわらず、テレビで紹介された商品やサービスはバカ売れし、お店に行列ができます。事実、テレビの取材がきっかけで大金持ちになった経営者もけっこういます。

その裏には、やはり「伝え方の法則」が存在しています。その手法が、「言い換え」と「ギャップ」を駆使すること。

「ものは言いよう」とはよく言います。同じことを相手に伝えるにしても、言い方ひとつで良くも悪くも印象が変わります。つまり、言い方しだいで相手の印象を「良い方向」に操作していくことができるということです。

これがまさに「言い換え」と「ギャップ」の技術なのです。

 

「短所」を「長所」に言い換える

就活中の学生さんにありがちな悩みとして「自己PRが思い浮かばない」というものがあります。

一応サークル活動はしていたけれど、部長でもないし、たいした実績も残せなかった。成績も中の中で、はっきり言って「目立たない存在」。強いて言えば誰にも嫌われていなかったので、たくさんの人と話をしたことくらい……。

こういう人、たくさんいますよね。しかし、この事実をそのままエントリーシートに書いたのでは、ライバルに差をつけることはできません。とはいえ、嘘をつくのはご法度。

そこで演出の出番です。一見短所に思える要素も視点を変えれば嘘をつくことなく「長所」として打ち出すことができるのです。そのテクニックが「長短言い換え」の法則。

読んで字のごとく、短所を長所に言い換えるということです。

どんなふうに言い換えればいいのか。たとえば、こんなものはどうでしょうか?

「縁の下の力持ち」

目立たず嫌われない存在とは、誰にも迷惑をかけていない存在と考えることができます。サークル運営には意見の対立や人間関係などさまざまな課題が存在します。そこに関わっていないということは、サークル運営を円滑に進めるために協力していたと考えることができるわけです。

"私の強みは、人間関係を円滑にすることです。大学時代、テニスサークルに所属していました。特にリーダーというわけではありませんでしたが、とにかくいろいろなメンバーと話すことを心がけていました。サークル内には意見の対立などもありましたが、私が話を聞くことによって芽を摘むことができたトラブルもありました。言わば「縁の下の力持ち」の役割に徹してきたと自負しております。"

このように、一見短所に思えることも見方を変えれば「長所」として打ち出すことが可能になります。このテクニックは、情報番組などでよく使われています。

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「ポジティブワード」がコミュニケーションの鉄則

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