「夢を持ちなさい」はプレッシャーにならない? 松岡修造が“夢よりも大切にするもの”
2021年09月15日 公開
95年のウィンブルドン選手権で、日本人男子として62年ぶりのベスト8進出を果たすなど、プロテニスプレイヤーとして功績を残した松岡修造さん。
現在はジュニア選手を育成・強化する指導者、そしてスポーツキャスターなどと幅広く活躍している。
そんな松岡修造さんは、新たに著書『修造流・逆転の発想法』(PHP研究所)を上梓した。松岡さんの人生や、実際に指導として伝えていることを元に、"弱さを強さに逆転させる具体的な方法"を綴っている。
本稿では、その中で夢を実現させるために今できる行動が書かれた一説を紹介する。
※本稿は、松岡修造 著『修造流・逆転の発想法』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
何を書いてもいい白い紙を1枚用意する
パソコンやスマホで文章を書くことが当たり前になっているいまは、ふだん「紙 に文字を書く」ことがかなり少なくなっていますよね。 デジタルツールはとても便利だし、僕 も利用していますが、何かアイデアや企 画 を考えようとするとき、僕 はいつも白い紙を1枚、用意します。
白い紙を目の前にすると、はてしない自由を感じませんか。ここには、何を書い てもいい。書いてはいけないことは何一つありません。
将来のことややりたいこと、勉強、部活、友達、どんなことでもいいのですが、 何かを考えようとするとき、まずは、自分の頭の中にあるものを、その白い紙の上にすべて吐き出していくような感覚で、考えつくあらゆることを書き出してみ てください。
僕 たちの頭の中には、つねにたくさんの思考があふれています。あふれすぎて、 どうすればいいかわからないなんてこともあるんじゃないかな。だから、 頭の中を一 度、からっぽにするつもりで、ポジティブなこともネガティブなことも、とにかく 全部出す! この作業の目的は、いま自分が何を考え、どんなことが気になっているのか、正 直な自分の思いを確認すること。
そうすることで、いまの自分にとって何が大 事なのかが浮かび上がってくるんです。 いろいろなものでごちゃごちゃになっている頭の中で、いきなり考えをまとめよ うとしても、なかなかうまくいきません。
まずは全部書き出して、何があるのかを 把 握 してから整理していきます。 こうして「書く」ことによって考えを深めたり、まとめたりする作業は、スマホやパソコンでもやろうと思えばできるけど、やはり自由度が高く、いつでもどこで もできる「紙に書く」方法が、心を整理するにはいちばん適していると思います。
さあ、まずは、白い紙を1枚、用意してください。そして、キミの思いを自由に 書いてみよう。自分でも気づいていなかった思いに出合うかも。
*頭の中にあることを全部書き出して把握しておこう
何かを変えたいときは意識して大げさにやってみる
たとえば、テニスでパワーのある球が打てないときに「ラケットの振り方をもっと大きくしよう」、自信がなさそうな話し方を変えたいときに「もっと大きい声で話そう」と考えて、やってみたとします。
そういう場合はたいてい、自分では大きくしているつもりでも、実際にはほとんど変わっていないんです。
自分でも大げさと感じるくらいに、むちゃくちゃ大きくラケットを振ったり、大きく声を出したりして、やっと客観的に「変わった」とわかるくらいに変化します。
これまでの自分のやり方を、大きく変えたいんだったら、大げさなくらいにやってみるのがちょうどいいんです。
「大きくラケットを振る人」とか「大きな声を出す人」を演じるくらいのつもりで、大げさにやってみる。意識して「演じる」ことで、行動が変わります。「演じる」というと、ほんとうの自分を偽るような、ネガティブな印象があるかもしれません。
でも、たとえば落ち込んでいるときに前向きに行こうとか、疲れているときに元気にふるまおうとすれば、演じる以外にないんです。「前向き」や「元気」を演じると、自然と自分自身がそれに同調していって、ほんとうに前向きな気分になったり、元気になってきたりします。
それによって行動も、「前向き」「元気」なものに変わる。いつでもどんなときでも笑顔でいるっていうのも、「演じる」ことの一種でしょう。
まずは「型」から入ることでもいい。行動することで気持ちはあとからついてくる。いままでとは違う自分を「演じる」ことで、変化を起こすことができるんです。
*意識して「演じる」ことで行動は大きく変わる