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生き方

1週間を6日で計算? 19世紀の作家が提案した「豊かな時間の使い方」

大賀康史(フライヤーCEO)

2022年04月15日 公開

ビジネス書を中心に1冊10分で読める本の要約をお届けしているサービス「flier(フライヤー)」(https://www.flierinc.com/)。

こちらで紹介している本の中から、特にワンランク上のビジネスパーソンを目指す方に読んでほしい一冊を、CEOの大賀康史がチョイスします。

今回、紹介するのは『自分の時間 1日24時間でどう生きるか』(アーノルド・ベネット 著、渡部 昇一 訳・解説、三笠書房)。この本がビジネスパーソンにとってどう重要なのか。何を学ぶべきなのか。詳細に解説する。

 

人生を豊かにするとはどういうことか

自分の人生を豊かにする、という言葉があります。一度その内容を分解して考えます。

人生とは何を表すものでしょうか。少なくとも社会的な地位や所有物ではないと思います。同じ地位の人が同じ人生とは言えませんし、所有物が人生であったら、人生と同様の物を買えることになってしまいます。人生とは、過ごした時間、あるいは経験した体感の積み重ねであると思われます。

次に、豊かにするということは、自分の幸福度を高める時間を過ごすことと捉えても良さそうです。一日という単位でみれば、美味しい食事を取ることで豊かな時間を過ごせますが、その体験が人生にわたって人を豊かにするとは考えられません。つまり、一日の単位で見たときと、数十年という単位で見たときに豊かさの基準は変わるのです。

人生を豊かにするためには何ができるでしょうか。お金の使い方や、所有物の使い方の見直しも有用ではありますが、最も大切なのは、時間の使い方を変えることでしょう。人生から時間が全て奪われたら、人生そのものがなくなってしまうように、人生で最も貴重な資源は時間なのです。

本書のタイトルは『自分の時間 1日24時間でどう生きるか』です。私たちに最も大切な資源の使い方を指南してくれるという期待が募ります。本書の著者は19世紀から20世紀を生きたイギリスの代表的な作家のアーノルド・ベネットです。では、本書の内容に触れていきます。

 

人生を変える時間の使い方

私たちには平等に1日24時間が与えられています。本書の記載では、「あなたの財布にはまっさらな24時間がぎっしりと詰まっている」と書かれています。その時間は誰も取り上げることができないのです。もちろん基本的人権が保障されている限りにおいてです。

この空白の時間の集まりこそが、私たちの可能性であり、それをどう利用するかでこれからの人生の意味が変わってきます。そう考えると自分にもまだ残されている時間があって、その空白の時間の集まりをどう過ごすかに楽しみが見出せそうです。

その時間の使い方について、著者はとても現実的な提案をしています。1晩おきに1時間半、精神の向上になることを継続的に行ってみてはいかがか、というのです。つまりそれ以外の時間をあらかじめ用意しておくことで、例えば友人と会う時間もできますし、ぼんやりと時を過ごす余地もあるのです。

もう一つあります。著者は、1週間を7日間で計画することなく、6日間で計画してみることを勧めています。そうすることでその時々のきまぐれで、思いついたことをできる日を準備しておくということです。

1晩おきに1時間半、そして1週間を6日間で計画する、という案のどちらも、十分にゆとりのある計画となっています。予定を埋め尽くしてしまうと人生に生きにくさを感じてしまう人にとって、現実的で有効な考え方だと感じます。ぎっしりと詰まったスケジュールにわくわくできない人でも挫折を感じずに済む、前向きに取り組める習慣になりそうです。

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理性を豊かにすることで得られるもの

著者紹介

フライヤー(flier)

ビジネス書の新刊や話題のベストセラー、名著の要約を1冊10分で読める形で提供しているサービスです。通勤時や休憩時間といったスキマ時間を有効活用し、効率良くビジネスのヒントやスキル、教養を身につけたいビジネスパーソンに利用されているほか、社員教育の一環として法人契約する企業も増えています。(https://www.flierinc.com/)

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