仕事相手や友人と仲良くなりたいがうまくいかない、仕事の付き合いで止まってしまう...。そんな悩みを解決するための「好感度のあげ方」を、社会心理学者の渋谷昌三氏が紹介します。
※本稿は、渋谷昌三 著『「見た目としぐさ」でホンネを見抜く心理学』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
一体感を強調する「われわれ意識」
次のようないい回しをすると、好感度が高まることがわかっている。
「また、お会いしましょう」というと、「また、お会いしなくてはなりませんね」という場合より、好感度が高くなる。「お会いしなくてはなりませんね」というと、「しなくてはならない」から義務感と伝わってしまう。
「私たちで」というと、「あなたと私で」という場合より好感度が高くなる。「私たち」という言葉から、いわゆる「われわれ意識」が感じられるので、二人の一体感が強調されるわけだ。
「この件については、私たちで何とかしましょう」といえば、「私たち二人が協力し合って、この問題を解決しましょう」と聞こえるわけだ。「私たちでしましょう」というフレーズで、お友だち感覚を強調することができる。
なれなれしくならない程度の「知り合い感覚」
近接度という言葉がある。これは、話し手とその会話内容との隔たりを表す用語だ。例えば、相手との心理的距離を近づけたい時には、距離を近づける言葉を使って、近接度を高くする。
近接度の高い表現は親密さや好意を示す。逆に、近接度の低い表現は忌避や悪感情を表している。次のような例がある。
「ヒトミさんが好きです」というと、「彼女が好きです」という場合より近接度が高くなる。
「私は、ヒトミさんに会いたい」というと、「ヒトミさんに会わなければなりません」という場合より近接度が高くなる。
「私たちは、いい関係にある」(現在進行形)というと、「いい関係にあった」(過去形)という場合より近接度が高くなる。
「うまくいくと、私は思います」というと、「うまくいくと、あなたは思うでしょう」とか「うまくいくと、人は思うでしょう」という場合より近接度が高くなる。
こうした言葉使いは、「ちょっと、なれなれしい」と受け取られるかもしれない。しかし、話し相手はむかしから親しい間柄であったかのような気持ちになるだろう。