一見縁遠い存在と思いがちな「政治家」だが、佐藤孝四朗氏によれば、誰でもなれるチャンスのある職業だという。コネも何もない人が政治家になるにはどうしたらいいのか。本記事では、給料事情や活動日数といった政治家についての基本情報を紹介する。
※本稿は、佐藤孝四朗著『選挙に出てみたくなる出馬超入門』(インプレス)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
政治家とは?その選ばれ方
政治家とは、職業として政治に携わっている者のことであり、一般的に国会議員、国務大臣並びに地方公共団体の長(知事・市区長・町村長。首長とも呼ばれる)及び議会の議員などが政治家と呼ばれます。
また公職選挙法や政治資金規正法においては、その適用対象となる「候補者、立候補予定者、現に公職にある者」を総称して政治家と呼びます。
国務大臣は民間人から起用されることもありますので、出馬を考える本記事では、選挙で選ばれた首長及び議員のことを政治家としましょう。
日本の国政では、直接選挙で選ばれた議員で構成される議会が首相を指名し、その首相が内閣を組織する「議院内閣制」をとっています。これに対して地方自治体では、首長と議会議員ともに、住民が直接選挙で選ぶ「二元代表制」をとるよう定めています(憲法第93条)。
二元代表制は、立法府を構成する議員と、行政の長をそれぞれ住民が選挙で選ぶ制度で、議員は法律や予算などを審議、決定する権限を持ちますが、その執行は行政の長が責任をもつため、立法権と行政権の分離を徹底できる利点があります。
欧米の地方自治体では、議院内閣制をとる国が多く、フランスでは議長が首長を兼ねて行政に責任をもっているほか、アメリカでは議会が民間人らを行政の実質責任者に指名する「シティ・マネージャー」制度をとっている自治体が多いようです。
日本の地方自治体は、人口の多い横浜市から、人口200人の離島の村まで、全国一律で二元代表制をとっています。どちらも民意が反映された住民の代表ですが、互いに対立することもあり、大統領制にちょっと似ています。
政治家を目指すのはこんな人
政治家の人数は、日本全国でどれくらいいるのか、内訳とともに確認してみましょう。
総数で実に3万5千人超。けっして少なくない人数です。
【全国政治家人数】
国会議員:713人
知事:47人
市長:792人
区長:23人
町村長:926人
都道府県会議員:2,679人
市議会議員:18,154人
区議会議員:902人
町村会議員:10,976人
計:35,212人
(出所:「会派別所属議員数一覧」(令和4年8月2日現在)」(参議院)/「会派名及び会派別所属議員数(令和4年8月8日現在)」(衆議院) /「地方公共団体の議会の議員及び長の所属党派別人員調等(令和2年12月31日現在/令和4年1月28日に修正)」(総務省)をもとに作成)
では政治家になりたい人とはどんな人でしょう。「出たい人より出したい人」とよく言われますが、「出たい人」と「出したい人」がマッチしていれば1番いいわけです。
実際には、下記のような気持ちをきっかけとして、政治家を目指す人を多く見てきました。
・世の中をよくしたい
現状の政治や社会に不安や問題意識をもち、「自分の力で変える!」と政治家を志す人。
・人の役に立ちたい
自分の力ではどうしようもできずに困っている人を見て、その人たちの力になりたいという思いから政治家を目指す人。
・地元に恩返しがしたい
自分がお世話になっている地域が抱える問題を解決したい、街を活性化させ、地域の魅力を再発見するために、その先頭に立って働きたいと願う人。
どうでしょうか。政治家に抱くイメージと違っていませんか。特に地方議員には、郷土愛の強い人が多いです。つまり権力が欲しい、ステイタスが欲しいというよりも、他人よりもちょっぴり正義感や義侠心が強い人たちが、政治家を目指し、政治家になることが多いのだと思います。