「どこに行くの?」と尋ねられて、「うるさいなあ」「私の勝手でしょ」と苛立った経験はありませんか? 『[イラスト版]「どうして私ばっかり」と思ったとき読む本』の一部をご紹介します。
※本稿は、石原加受子著『[イラスト版]「どうして私ばっかり」と思ったとき読む本』(PHP研究所)から一部を抜粋し、編集したものです。
あなたの心はもっと自由になっていい!
「自分の感情を基準」にしていると、自分にとって「何が問題なのか」が見えやすくなってきます。
例えばあなたは出掛けるときに、家族や近所の人に、「どこに行くの?」と聞かれたことがあるのではないでしょうか。 そのときあなたは、どんな気持ちになったでしょうか。
時には「なんでそんなことを聞くのよ」という気持ちになって、少し苛立ちを覚えたり、その言葉に反発を覚えたりしませんでしたか。
とりわけ夫が妻に、あるいは姑が嫁に、というようなときはいっそう、自分が咎められているような気がして、腹を立てたのではないでしょうか。
あるいは、 「夫は、自由に出掛けて、何時に帰ってこようが文句を言われることはないのに、どうして私だけが......」 などと、悔しい気持ちになったこともあるでしょう。
それでいてあなたは、相手に聞かれると、つい、「同窓生と、ホテルで食事をするんです」などと答えてしまっていませんか。
「どこに行こうと私の勝手でしよう」と心の中では苛立ちながらも、答えてしまう。そこであなたは、すでに「従わなければならない」に囚われていることに気づいてほしいのです。
あなた自身も、自分で自分を縛っているのです。 もちろん、夫も姑も、近所の人も「妻は、嫁は、主婦は、こうあるべきだ」と思っているかもしれません。
けれども、相手が「こうあるべきだ」と要求していたとしても、あなたは自由であっていいのです。人がそうだからといって、あなた自身の心が自由であれば、それを受け入れる必要はないはずです。
「こうあるべき」という思考があなたを苛立たせる
まずあなたには、"出掛ける自由"があります。 あなたが「私が出掛けるのは自由だ」と心から認めていたら、「どこに行くの?」と尋ねられても、「うるさいなあ」というような苛立った反応はしないでしょう。
あなたがそこで苛立つのは、あなたが妻として、主婦として、嫁として、「こうあるべきだ」などと思っているからではないでしょうか。
そんな思いで自分を縛っていると、自分が出掛けることにすら罪悪感を覚えます。罪悪感を覚えれば「同窓生と会食に」と答えるときにも、不機嫌そうな態度をとっているでしょう。
もちろん相手も、あなたのそんな態度や表情に不快感を覚えます。これがとりわけ嫁姑の関係であれば、姑は腹が立つから、嫁が出掛けようとするといっそう干渉したくなる、という悪循環に陥っていくでしょう。
近隣の人とこんな関係になってしまうと、悪口の材料を与えることになってしまうでしょう。
もしあなたの中に、出掛けることへのそんな罪悪感があるとしたら、「どこ行くの」と聞かれるたびに、罪悪感が強くなっていきます。そのために、段々出掛けるのを控えるようになっていくかもしれません。
逆に、ムキになって、争いながら出掛けることになるかもしれません。 いずれにしても、気持ちよくというわけにはいかず、出掛けるかどうかという、こんなことですら、他者中心の人は、「自分が損をする」状況を自らつくってしまうのです。
こんなとき、「私が出掛けるのは、心から私の自由なんだ」と、それを自分に認めていれば、あなたは気持ちよく出掛けることができるでしょう。「自由なんだ」という気持ちがあれば、相手が「どこに行くの?」と聞いてきたとしても、その言葉に過剰に反応しなくなるでしょう。
「私には○○の自由がある」と声に出して言ってみる
あなたは出掛けるとき、無自覚に「同窓生と会食に」と答えてしまいました。「どこ行くの?」と聞かれたときに、毎回そうやって自動的に答えてしまっていませんか。
もちろん正直に答えることが悪いというわけではありません。けれども、つい答えてしまうとき、あなたは、「どこに行くかを、答えてもいいし、答えなくてもいい」という自由があるということを認識しているでしょうか。「どこ行くの?」と聞かれたとき、「はい、ちょっと、そこまで......」こんな掛け合いが挨拶代わりになっている場合もあります。
それでも、あなたが「はい、ちょっと」と答えるその言葉の中に、多少の後ろめたさがないでしょうか。こんな小さな場面でも、自分中心になって自分を見詰めることができると、心の自由を、自分が認めているかどうかがわかるのです。
あなたには「出掛ける自由がある」と同様に、そんな問いに「答えないでいい自由」があります。
「私はその問いに、答えないでいい自由があるんだ」
改めて声に出して言ってみると、少し、解放された気分になるのではないでしょうか。
繰り返しますが、「出掛けるのも自由。答えるかどうかも自由」なのです。あなたの中にそんな自由があれば、相手の言葉に敏感に反応して苛立ったり腹を立てたりする分量がどんどん減っていくでしょう。
そして、そんな問いかけに対しても臆することなく、「行ってきます」と会釈して、楓爽と会食に出掛けることもできるのです。
【著者紹介】
石原加受子(いしはら・かずこ)
心理カウンセラー。「自分中心心理学」を提唱する心理相談研究所オールイズワン代表。日本カウンセリング学会会員、日本学校メンタルヘルス学会会員、日本ヒーリングリラクセーション協会元理事、厚生労働省認定「健康・生きがいづくり」アドバイザー。 「思考・感情・五感・イメージ・呼吸・声」などをトータルにとらえた独自の心理学で、性格改善、対人関係、親子関係などのセミナー、グループ・ワーク、カウンセリングを25年以上続け、多くの悩める老若男女にアドバイスを行っている。
イラスト:成瀬 瞳