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天璋院篤姫のそれから~明治の世をいかに生きたか

2017年11月20日 公開

歴史街道編集部

天璋院像
天璋院像(鹿児島市)
 

天璋院篤姫が没

今日は何の日 明治16年11月20日

明治16年(1883)11月20日、天璋院篤姫が没しました。徳川13代将軍家定の御台所で、徳川幕府が瓦解する中、和宮とともに大奥を守り、徳川家存続に尽力したことで知られます。

篤姫は天保6年12月19日(1836年2月5日)、鹿児島で生まれました。薩摩藩主・島津斉彬の養女として13代将軍徳川家定の正室となり、江戸城大奥に入りますが、当初は将軍継嗣を一橋慶喜にするための工作の一環と見られ、慶喜嫌い(水戸嫌い)の大奥の反感を買いました。家定との間に子供ができれば状況は一変したのでしょうが、病弱な家定は結婚後2年も経たずに没し、篤姫は落飾して天璋院と号します。

紀州出身の14代将軍家茂の義理の母となり、宮中から皇妹和宮を家茂の正室に迎えますが、武家と宮中のしきたりの違いから、嫁姑が反目したことはよく知られます。しかし家茂が病没し、大政奉還と幕府瓦解に直面すると、篤姫と和宮は協力して徳川家存続に尽力し、江戸無血開城実現にこぎつけます。 勝海舟は維新後、「二人が勝邸に遊びに来た折、昼食になり、どちらが相手のご飯をよそうかでもめたので、仕方なくお櫃をもう一つ用意し、互いに相手のご飯をよそって丸く収まった。帰りは一つの馬車に並んで仲良く帰っていった」と愉快げに語っています。

このあたりの経緯は、宮崎あおいさんが演じたNHK大河ドラマ「篤姫」で記憶に新しいところかと思いますが、今回は、そらからの篤姫について紹介してみます。

「はつか様」。徳川宗家では戦前まで、篤姫の月命日にあたる毎月20日をそう呼び、篤姫の肖像画を飾り、彼女の好物を食膳にのぼらせていました。篤姫が徳川家の人々に大切にされていたことが窺えます。篤姫の好物は、白いいんげんを甘く煮たもの、あんかけ豆腐、茶飯などでした。飾らない人柄が感じられるようにも思います。

篤姫と和宮の尽力もあって、家名存続が認められた徳川家は、慶応4年(1868)4月末、6歳の田安亀之助が相続、駿府70万石が与えられます。しかし明治4年(1871)の廃藩置県で亀之助は江戸に戻り、その養育に篤姫があたることになりました。篤姫は当時、34歳。篤姫の亀之助の養育方針は質実剛健。着物は双子織という綿織物しか着せませんでした。

暮らしは火の車でしたが、篤姫は実家の島津家からの援助申し出をきっぱりと断り、質素な暮らしに愚痴ひとつこぼさなかったといいます。亀之助も厳しくも我が子のように接してくれる篤姫を慕い、実の親子のように二人は接していました。

徳川家達
徳川家達(15歳)

明治10年(1877)、亀之助改め16歳の家達は、イギリスのイートン・カレッジに留学。同年、京都から東京に戻って以来、篤姫と親しく接していた和宮が急死して、篤姫は悲しんでいます。

家達の留守中、篤姫は家達の結婚相手を選んでいました。篤姫の眼鏡にかなったのは、近衛忠房の娘・泰子。近衛忠房は、篤姫が徳川家定に嫁ぐ際に養女となった近衛忠煕の息子ですので、篤姫にとって義理の兄にあたります。泰子は義理の姪にあたりますので、見ず知らずの娘よりは心安かったのでしょう。篤姫は泰子を引き取って、家達が帰るまで、泰子を「徳川家の妻」として教育しました。篤姫も将軍家に輿入れするまで、そうした教育を施されていますから、感慨深いものがあったかもしれません。

明治15年(1882)、家達は帰国し、泰子と結婚しました。家達20歳、泰子15歳の時のことです。婚礼をあげた二人は、篤姫とともに、千駄ヶ谷の徳川邸に暮らしました。2年後、長男の家正が誕生します。しかし篤姫は家正の顔を見ることなく、前年の明治16年11月20日にこの世を去っていました。享年49。

喪主・家達によって葬送の式が行なわれ、篤姫は上野寛永寺の夫・家定の墓所に埋葬されています。我が子のように養育した家達に、義理の姪を娶わせ、泰子の懐妊で、徳川家の跡取りが宿ったことを知ってから世を去った篤姫。それはまさに徳川家の将来を見届ける役割を果たしたものであり、後年まで彼女が徳川家の人々に大切にされたこともわかるように思います。


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