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上杉禅秀の乱~関東戦乱の幕開け

2018年01月10日 公開

歴史街道編集部

今日は何の日

前関東管領の上杉禅秀が自害

今日は何の日 応永24年1月10日

応永24年1月10日(1417年1月27日)、前関東管領の禅秀・上杉氏憲が鎌倉雪の下で自害しました。上杉禅秀の乱として知られます。

室町時代、関東には鎌倉府という政権が存在していました。本来は室町幕府の出先機関的な意味合いで、関東八カ国に加え、伊豆、甲斐、奥羽をも管轄するものです。鎌倉府を統括するのは鎌倉公方で、京都の足利将軍家の血筋の者が務めました。そして鎌倉公方を補佐するのが関東管領で、足利氏の姻戚である上杉氏がこの職を独占しています。上杉氏の中でも、特に関東管領は山内上杉氏と犬懸上杉氏が交代で務めました。

応永11年(1404)、鎌倉公方の領土割譲要求を拒んだ陸奥の伊達政宗(独眼竜の先祖)が乱を起こすと、犬懸上杉朝宗の息子・氏憲が鎌倉府の軍勢を率いてこれと戦い、鎮圧します。この上杉氏憲が禅秀(出家後の名)でした。生年は不明です。

応永16年(1409)、禅秀は犬懸上杉氏の家督を継ぎ、2年後の応永18年(1411)には、山内上杉憲定の跡を継いで関東管領に就任、若年の鎌倉公方・足利持氏を補佐します。ところが禅秀と持氏の仲がうまくいきません。これには二人の人間関係だけでなく、犬懸上杉のライバルである山内上杉氏や、持氏の叔父にあたる足利満隆の思惑などが絡んでいたともいわれます。公方の持氏は禅秀でなく、事あるごとに前関東管領・山内上杉憲定の息子・憲基を重用しました。禅秀は相当悔しい思いをしていたのでしょう。

応永22年(1415)、鎌倉府政所評定所は、禅秀の家人・越幡(おばた)六郎の所領を、病で出仕していないことを理由に没収します。この処分は不当であると禅秀は抗議しますが聞き入れられず、不服の禅秀は病と称して出仕を拒否、ほどなく関東管領を更迭されました。持氏と山内上杉氏の思うつぼであったでしょう。

足利持氏は禅秀辞任の2週間ほど後には、お気に入りの山内上杉憲基を関東管領に据えています。この持氏と禅秀の確執は京都でも注目されており、禅秀の辞任後、彼のもとに足利4代将軍義持の弟・義嗣から密使が派遣されてきました。義嗣は3代将軍義満の4男で、義満から溺愛されていた人物です。義嗣は禅秀に対し、「京都と関東で呼応して、足利将軍と鎌倉公方を討つべし」と持ちかけました。義嗣は兄・義持と将軍職を争って敗れた経緯があり、その座を狙っていたのです。この事態に禅秀は、足利持氏の叔父の満隆や、持氏の弟・持仲らとも相談の上、持氏に対する叛乱を決断。禅秀のもとには下総の千葉氏、上野の岩松氏、下野の宇都宮氏、結城氏、常陸の佐竹氏、大掾(だいじょう)氏、甲斐の武田氏など、鎌倉府に不満を抱く者たちが集結しました。

応永23年(1416)10月2日、禅秀が挙兵。持氏や関東管領山内上杉憲基らは寝耳に水であったらしく、備えはまったくなされていません。 4日に持氏らは軍勢をかき集めますが、禅秀軍に一蹴され、持氏は小田原を経て、命からがら駿河へと落ち延びました。一方、京都では足利義嗣による叛乱計画が露見、義嗣は捕われます。事態を重く見た4代将軍義持は、駿河の今川氏のもとに逃れた持氏を支援することを決定。今川氏や越後守護・上杉房方に鎌倉府奪還のための出陣を命じました。

鎌倉を制圧した禅秀でしたが、将軍の命を受けた軍が迫ることが伝わると、形勢は一変し、武蔵の豊島氏、江戸氏が離反。応永24年(1417)元日、禅秀は武蔵国世谷原(せやはら、現在の横浜市瀬谷区)で豊島・江戸連合軍を破りました。しかしその間隙をついて今川軍が相模に侵攻、また上杉房方らの軍に敗れた禅秀らは鎌倉に戻り、10日、雪の下で禅秀、足利満隆、持仲らが自刃して乱は終息します。結果、犬懸上杉氏は没落し、代わりに台頭するのが扇谷上杉氏でした。

禅秀の乱では義嗣の謀叛計画があったため、将軍義持は鎌倉公方の持氏を支援しましたが、以後、京都の将軍は、幕府から距離を置き始める鎌倉公方への警戒の念を強めていきます。また、禅秀に加担した武将たちは、鎌倉府による粛清に遭うなどしたため、出仕をとりやめる者が相次ぎました。その後、公方と関東管領の対立から関東の情勢は混迷を極め、永享の乱、結城合戦へと、京都の応仁の乱よりも早く、戦乱の時代を迎えることになります。

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