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海軍反省会ー当時の中堅幹部が語り合った400時間の記録

2018年11月15日 公開

戸髙一成 呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)館長

海軍軍令部1部幹部

昭和16年(1941)12月、開戦を目前にした軍令部1部幹部。前列左より、第1課長富岡定俊大佐、宣仁親王中佐(高松宮)、第1部長福留繁少将、神重徳大佐(先任参謀)。後列左より、中野政知中佐(軍令部出仕)、内田成志中佐、佐薙毅中佐、華頂博信少佐、山本祐二中佐、三代辰吉(一就)中佐。この中で、佐薙毅と三代一就は、「海軍反省会」のメンバーとして、積極的な発言を行なった(写真:『[証言録]海軍反省会4』より)
 

海軍反省会で、語られたこととは──

400時間にも及ぶ秘蔵の録音テープ……。日本海軍の中堅幹部が、先の大戦について戦後、語り合った肉声が残されていた。それらを収録した『[証言録]海軍反省会』(全11巻)が、10年の時をかけ、このたび完結。編者の戸髙一成氏は語る。

「このような資料が、歴史の新たな側面を明らかにすると思っている」

海軍反省会で、語られたこととは──。
 

戸髙一成 呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)館長
昭和23年(1948)生まれ、宮崎県出身。多摩美術大学美術学部卒業。(財)史料調査会理事、厚労省所管「昭和館」図書情報部長などを経て現職。著書に『海戦からみた太平洋戦争』などがある。

 

錚々たるメンバーが集った「海軍反省会」

終戦直後の昭和20年(1945)9月に、米内光政・海軍大臣は敗戦に至った原因を調査・記録するため、戦訓調査委員会を発足させました。

海軍省の解体によって、この委員会は消滅しましたが、同年12月、第二復員省に臨時調査部がつくられ、幹部クラスを集めて日米開戦に至る経緯が討議されました。

また昭和31年(1956)から36年(1961)にかけて、海軍士官の親睦団体・水交会の委託を受けた小柳富次・元海軍中将を中心に、将官クラスの聞き取り調査が行なわれています。

「海軍反省会」は、そのような流れを受けて発足しました。

昭和52年(1977)7月、水交会の談話会で、海軍中将だった中澤佑氏が「海軍は美点もあったが、失敗も多かった。反省会のようなものをつくったらいかがか」と提案。これに賛同した野元為輝氏が関係する人たちに声をかけて、第1回の会合が昭和55年(1980)3月に開かれます。

ここで「海軍反省会」という名称が決められ、史料調査会に勤務していた土肥一夫氏が、幹事役を引き受けました。

当時、史料調査会の主任司書をしていた関係で、私もお手伝いをしたのですが、メンバーは中佐・大佐クラスの中堅幹部が主で、錚々たる顔ぶれが揃っていました。

軍務局長として、最後の御前会議に出た保科善四郎氏。海軍兵学校の校長まで務めた新見政一氏。伏見宮・軍令部総長の副官だった末国正雄氏。吉田善吾、及川古志郎、嶋田繁太郎と、3人の海軍大臣の副官を務めた福地誠夫氏。

それから幹事役の土肥一夫氏も、開戦時は井上成美の、ミッドウェー海戦後は山本五十六の、山本の死後は古賀峯一の参謀で、その後も軍令部参謀を務めた方でした。

それこそ海軍省、軍令部、連合艦隊の中心部で、情報を直接見聞きした人たちが集まったわけです。

こうした方々が、「後世に残すなら、きれいな作り話はいらない。とにかく思いのままをズケズケ話しましょう」ということで語り合ったのですが、そのために、主な発言者が存命中は基本的に公表しないと取り決められました。

また、途中で外部に情報が漏れるのを防ぐ目的で、海軍軍人か遺族などの直接関係者以外は正規メンバーにしないとの、厳しい縛りを課してもいます。

とはいえ「話を聴きたい」という海軍関係の若い人が出てきたので、海軍軍人と直接の関係者の他に、毎回10数名ほどが傍聴するようになりました。

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