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もうすぐ年末ジャンボ!!「庶民の夢」宝くじには、長い歴史がありまして……

2019年11月13日 公開

五十嵐貴久(作家)

億万長者も夢じゃない……そんな期待を胸に購入するのが宝くじ。
この宝くじには、中国の万里の長城の建築にまで遡るほど、長い歴史があるのだ。
いまや名物となった高額賞金は、いかにして出来上がったのか。宝くじの歴史を紐解いていこう。
 

五十嵐貴久(作家)
昭和36年(1961)、東京都生まれ。成蹊大学文学部卒業後、出版社に入社。2001年、『リカ』で第2回ホラーサスペンス大賞を受賞し、デビュー。著書に『交渉人』『安政五年の大脱走』『パパとムスメの7日間』『相棒』『ぼくたちは神様の名前を知らない』の他、富籤をテーマにした『天保十四年のキャリーオーバー』などがある。

 

万里の長城建設や寺院の修理に

歳を取ると、1年があっと言う間である。11月に入り、あとひと月も経たないうちに師走となる。

賢明なる読者諸兄はご存じかと思うが、出版業界には「年末進行」という正体不明の化け物が棲んでおり、よくわからないまま締め切りが早くなったり、編集者のスケジュール管理が厳しくなり、やたらと怒られるのが12月という月である。

怒られてばかりだとフラストレーションが溜まるが、何しろ締め切りがあるので、遊びに行くわけにもいかない。ストレス発散と一獲千金の夢を兼ねて、12月の風物詩である“年末ジャンボ宝くじ”を購入するようになって、かれこれ10年ほどが経つ。

意外と認知されていないが、宝くじは法律上ギャンブルとして定義されている。要するに博奕なので、気晴らしにはもってこいなのである(しかも時間を必要としないので、締め切りに追われる身としてはベストとも言える)。

人間の歴史と博奕は、切っても切れない縁があるが、宝くじもまた大昔からあった。たとえば中国の万里の長城は、その建築費用の一部が宝くじの収益金で賄われていたほどである。

日本においては、平安期に箕面(大阪府)の瀧安寺で“箕面籖”が販売されていたという記録が残っているが、その後、主に上方で流行する。

時代を経るにつれ、富籤として全国の社寺で富籤興行が開かれるようになったが、その目的は社殿、寺院等の修理費用調達にあった。江戸期に入ると、その勢いは加速し、江戸市中の寺社を中心に隆盛を極めることになる。

博奕は本質的に犯罪であり、現在でもそうだが、権力者サイドにとって忌むべきものだった。理由は数多くあるが、最も大きいのは博奕が勤労意欲を削ぐ、という点だろう。

博奕で世をしのぐ者は、要するに遊んで暮らしたいだけなので、納税などするはずもなく、そうなると非常に困った事態になるのは目に見えている。

加えて、昨今問題になっているように、博奕は依存度が高く、耽溺すれば労働することもなくなるので、社会的にもよろしくない。犯罪として取り締まるのは当然だろう。

現代では競馬、競輪、オートレース等などがあるが、これらはあくまでも公営ギャンブルとして認可されているために成立しているのであって、私営(?)ギャンブルはすべて違法である。

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