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今、話題の「ミニマリスト」 の仕事術とは?

2016年02月04日 公開

佐々木典士(ミニマリスト)

モノを減らすと行動力が高まる!

リュックに収められている佐々木さんの仕事道具。MacbookAir、モバイルwifi、充電器、コード2本、スマートフォン、財布。これさえあれば、いつでもどこでも仕事に取りかかることができる。

 

 部屋やデスクを埋め尽くしていたたくさんのモノと訣別した結果、代わりに手に入れたのは「行動力」でした。

 モノの雑音がなくなったことで、自分がやりたいことに敏感になり、最小限のモノしか持っていないので、身軽に身ひとつで動けます。自分が行きたいイベントやライブに出かけたり、旅に出たり、会いたい人に会いに行ったり。モノに費やしていたお金やエネルギーが、そのまま〝経験〟に活かされるようになったのです。

 僕の部屋にはモノが極端に少ないのでそもそも「散らかる」という概念がありません。モノがなければ、週末にわざわざ時間を作って掃除したり、片づけたりする手間が必要ないとわかったのです。

 また、汚れたらその場で掃除する習慣がつきました。僕はズボラな性格なので、片づけの仕組みを作ってそれを維持するのは無理です。モノを減らしてしまうことが、整理整頓の最大の近道だと思います。

 気持ちの面でも変化が起きました。将来の不安がなくなったのです。それは、モノがなくても、僕は全然困らないということがわかったから。最低でも10万円を稼ぎ続けることができれば、今の楽しい生活は持続可能です。

 ミニマリストを自称する僕ですが、今も昔もモノが大好きです。しかし、欲しいモノを片っ端から手に入れても、それで自信がついたり、幸せになることに直結するわけではないと気づいたのです。

 思いつくままにモノを手に入れることで得られる幸せは、手に入れた瞬間をピークに数日や数週間、ときには数時間で過ぎ去り、次の日からは「まだ足りない」と欠乏感が湧いてくるのです。

 今では、本当に必要とするモノ、好きなモノだけをとことん厳選して選ぶようになりました。すると、そのモノへの愛着や、モノのもたらす幸福感が続くのです。

 モノを極限まで手放したことで、僕は行動力がつき、自由な空間と時間、そして心の余裕まで手に入れることができました。モノを減らすことで、生き方をもっと自分らしく高める──それがミニマリストの整理術なのです。

 

           取材・構成 麻生泰子写真撮影 まるやゆういち

 

                  『THE21』2015年10月号より

 

著者紹介

佐々木典士(ささき・ふみお)

ミニマリスト

1979年生まれ。〔株〕ワニブックス勤務。編集者・ミニマリスト。早稲田大学教育学部卒。学研『BOMB 』、INFASパブリケーションズ『STUDIO VOICE』を経て、現在は書籍編集に従事する。2010年頃から身のまわりのモノを手放し始め、その経験をまとめた『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』(ワニブックス)は、12万部を超えるベストセラー。

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