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ズルい! 発想術

2016年03月02日 公開
2023年05月16日 更新

加藤昌治(博報堂PR戦略局)

公私混同はアイデア量産の奥の手?

 発想力を鍛えるためには、インプットの量を増やすことも欠かせません。新聞やネットなどで情報を集めることも大切ですが、日々の生活習慣で、必要な情報はインプットできる、と私は考えています。

 その1つが「お金を使うときには、できるだけ知らない物や事を買う」。

 たとえば、ランチに行くなら、毎日同じ店に行かずに別の飲食店に行ってみる。あるいは、同じ店でも、毎回違うメニューを頼むのです。また、お弁当を買うにしても、今まで食べたことのない種類に挑戦してみましょう。「同じ時間とお金を使うなら、できるだけ違ったものを」です。それだけで新しい経験や発見が手に入ります。これを積み重ねていくと、ちょっとした違いに敏感になってきます。

 少し例が古いかもしれませんが、コンビニエンスストアで売っているサラダ、ドレッシング別売りバージョンが出たことで、自分の好みに合わせて楽しめるようになりました。「サラダとドレッシングを別にした」だけですが、実は大きな進化です。こうした、市場のちょっとした変化に気がつく洞察力を磨くことが、今までにない商品やサービスのアイデアを生み出すことにつながるのです。

 最近の20~30代は仕事とプライベートをはっきりと分ける考え方もあるようですが、プライベートの経験は仕事でのアイデア出しに大きく貢献してくれます。顧客目線で感じたことが、アイデアのヒントになるからです。いつも仕事のことを考える必要はありませんが、アイデアを思いつくのは、得てして仕事をしていないときのほうが多いもの。日々の小さな経験を増やしておけば、いざ案を求められた際、短時間でも多くの提案ができます。

 この「公私混同の仕事術」もまた、オフィスでのアイデア出し時間を短縮する一手段であることも覚えておくといいでしょう。

 

取材・構成 杉山直隆

著者紹介

加藤昌治(かとう・まさはる)

〔株〕博報堂PR戦略局 部長

1970年、大阪府生まれ。94年、〔株〕博報堂入社。情報環境の改善を通じてクライアントのブランド価値を高めることをミッションとし、マーケティングとマネジメントの両面から課題解決を実現する情報戦略・企画を立案、実施する毎日。著書に『考具』『チームで考える「アイデア会議」 考具応用編』(ともにCCCメディアハウス)などがある。

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