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なぜ、一流ほど「ワイン」を飲むのか?

2016年04月05日 公開

猪瀬 聖(ジャーナリスト)

ワインを知ることは「英語を学ぶ」ことと同じ

私自身、ワインエキスパートの資格を取ったことで、人脈が大きく広がりました。ジャーナリストとして多くの一流の人たちの取材をする中で、ふとワインの話になり、その後もずっとつきあいが続くようになったことは数多くあります。

そして、ワインがつなぐ人脈は、まさに世界規模です。先ほどの出井氏の例のように、欧米人を相手にするときは、ある程度のワイン知識は必須。また、ワインはあくまでヨーロッパのお酒だと考えている人も多いかと思いますが、近年のワインブームは世界規模で広がっています。中国やロシアといった発展著しい国でも、とくにエリート層の商談の際にはワインが出されるのが一般的になっているそうです。中でも、中国のワインブームはすごく、アジアのソムリエコンクールでも中国人が上位に進出するなど、今後目が離せない存在になっています。

また、チリやオーストラリアなど、ワインの生産国は世界各国に及びます。その国の人とは当然、地元のワインの話題で盛り上がることでしょう。つまり、ワインはビジネスの共通言語、いわば「英語」のようなものになっているのです。

 

「ワイン・スノッブ」は世界中で嫌われる

その奥深さゆえに、ワインにハードルの高さを感じる人も多いでしょう。しかし、あまり難しく考えることはありません。ワインは奥が深すぎるがゆえに、ワインのプロであるソムリエですら、世界中すべてのワインを網羅しているわけではないのです。そう考えると、少し気が楽になるのではないでしょうか。

先ほど、ワインを「言語」にたとえましたが、ワインの勉強を始めると、たとえばワインショップでワインのラベルを見たとき、どのようなものかが徐々に理解できるようになります。これはまるで、語学を勉強して言葉がわかるようになるのと一緒。まさに「世界が広がる」感覚を得られるのです。そうしてどんどん世界を広げていくうちに、自分好みの一本と出合うこともできるでしょう。

ただ、注意しておきたいのは「一流は決して、ワインのうんちくを必要以上に披露しない」ということ。知識をひけらかす人を指して「ワイン・スノッブ」と言いますが、これは世界中どこでも嫌われ者です。ワインは話のきっかけではあっても、あくまで脇役だということを忘れないでください。

最後にひと言。スマートにワインを楽しむには「飲みすぎない」ことも重要です。お酒はリラックスするための飲み物。酔っ払いすぎてしまっては、おもてなしもできません。ほどほどにしましょう。

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