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私に勇気を与えてくれた偉人たちの名言

2016年04月27日 公開
2022年10月27日 更新

竹中平蔵(東洋大学教授/慶應義塾大学名誉教授)

 

問題意識があれば「必要な名言」に出合える

 言葉は時として人の心をさまざまに揺さぶりますが、聞く人や状況によって、その言葉の捉え方は大きく異なります。

 たとえば「人民の、人民による、人民のための政治」というリンカーンの名言はみなさんご存知でしょう。しかし、現代の日本人で、この言葉自体を知っていても、この言葉を「名言」として実感している人は少ないと思います。民主主義の本質を端的に表わしたこの言葉の意義を本当に理解していれば、日本人はもっと投票に行くはずですから。

 このように同じ言葉であっても、聞く人や時代によって受け取り方が異なるものです。また、同じ人であっても年齢や置かれた状況によっても感じ方は違ってくるでしょう。つまり、心に響く言葉というものは、人や時代によってさまざまなのです。

 では、自分にとっての名言はどのように見つけるのか。それは、常に問題意識を持つことです。問題意識を持ち続けていると、ふとしたときにその答えとなる言葉が見つかるものです。本を読んでいるときやテレビを観ているときなど、何げなく見たり聞いたりしている言葉が、目や耳に飛び込んできたとしたら、それが、今の自分にとって必要な言葉なのです。

 名言本をめくって言葉を探す必要などはありません。問題意識さえ持っていれば、自然と心に刺さる言葉が見つかるはずで、ひいては問題解決にもつながるのです。

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著者紹介

竹中平蔵(たけなか・へいぞう)

東洋大学教授・慶應義塾大学名誉教授

1951年、和歌山県生まれ。1973年、一橋大学経済学部卒。2001年、経済財政担当大臣に就任。以後、金融担当大臣、総務大臣などを歴任する。2013年、安倍政権で産業競争力会議有識者委員に就任。著書に、『竹中流「世界人」のススメ』(PHPビジネス新書)ほか多数。

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