THE21 » トピックス » 「早い、安い、雑」。使い勝手より作り勝手(ジョージア)

「早い、安い、雑」。使い勝手より作り勝手(ジョージア)

2016年07月05日 公開
2021年08月23日 更新

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(11)石澤義裕(デザイナー)

実は意外なスピード大国!?


自動車のメカニック。工賃は時給で300円くらい。3人の子持ちで51歳。

昼飯をしっかり食べれば、晩飯抜きでも生きながらえるようになった、省エネ夫婦です。エコな軽自動車に股がり、北海道から南アフリカを目指す放浪ドライブも、早8カ月。ヨーロッパの裏口まで、たどり着きました。

 

「影の大統領」の趣味は巨木集め!?

去年、ロシア語読みの国名「グルジア」から、英語読みに改称したジョージア。

国内に独立志向の高いふたつの共和国を抱え、その獅子身中の地域をロシアに勝手に独立国として承認されてしまい、反露親米。プーチンから受けた軍事介入、経済制裁の恨みを晴らすべく、EUとNATOに入会申請中です。

世界一の人口減少国ながらも、地味に華やかなのが大統領の席取り合戦。旧ソ連の外相だったシェワルナゼ大統領を追っ払ったのが、ニューヨークの法律事務所で働いていたビジネスマン。そのビジネスマンを蹴落としたのが、影の大統領ビジナ・イワニシビリ。

ロシアの新興財閥成金で、その財産はジョージアのGDPのおよそ半分。カンガルーやペンギンをペットに従え、趣味は巨木集めという高尚さ。650トンものユリノキを引っこ抜いて船で運んだ、罰当たりな人です。

首都トビリシの高台に建てた通称ジェームスボンド・ハウスは、およそ30億円。科学博物館みたいなデザインは、日本人建築家の仕事です。

 

「起業のしやすさ世界6位」。意外なスピード国家

定年退職後に海外プチ移住を企んでいる、ポスト団塊世代の皆さんにホットなニュースです。

ジョージアは、穴場です。

物価が安くて飯が美味く、東南アジアのように退職金を狙う悪女がいません。
ビザなしで1年間も滞在でき、就労もOK!さらに起業のしやすさランキングは、世界6位!

ジョージア人は面倒くさがり屋なので、ナニをやらせても「早い、安い、雑」。賄賂不要で、2~3日あれば会社登記できます。
陸路の入国審査も普通なら1~2時間かかるものですが、ジョージアなら申請書類なし。荷物検査もアバウトな人力透視なので、10分とかかりません。

不動産も手間ひまを省いたメンテナンス知らず。現況優先物件の宝庫なので、安さ爆発です。
地盤沈下で半分倒壊した売り家。床が斜めになったシュールな物件。梁がひん曲がり、壁は斜めに傾き、ドアや窓が歪んだガウディ調の物件でも、媚びることなく売っています。
屋根が崩落した家屋も珍しくなく、窓にカーテンがあれば人が住み、深淵がこちらを覗いていたら廃墟です。


これぐらいの亀裂は、珍しくありません。

次のページ
なぜか新築マンション最上階に犬のアレが! >

著者紹介

石澤義裕(いしざわ・よしひろ)

デザイナー

1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。新宿にてデザイナーとして活動後、2005年4月より夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。

THE21 購入

2024年5月号

THE21 2024年5月号

発売日:2024年04月06日
価格(税込):780円

関連記事

編集部のおすすめ

世界最強の商売人か? 単なる売り込みベタか?(アルメニア)

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(10)石澤義裕(デザイナー)

経済制裁も巧みに回避。最強の後出し系交渉術(イラン)

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(9)石澤義裕(デザイナー)

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち

石澤義裕(デザイナー)
×