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【今週の「気になる本」】『秘島図鑑』

2016年10月28日 公開

清水浩史著/河出書房新社

南鳥島や沖ノ鳥島、硫黄島といった有名どころから、南硫黄島、沖大東島など比較的マニアックな島、そしてどう見ても島というより「岩」というところまで、人を寄せ付けない「秘島」を集めたのが本書。「本邦初の行けない島ガイドブック」という、なんだかいろいろ間違っている気がするオビコピーが秀逸だ。

「絶海の孤島」という響きに心惹かれるのは、海洋民族のDNAなのか、海賊映画の見過ぎなのか、ゲームのやりすぎなのか。海にポツンとせり出した孤島の写真は、なんだか妙な迫力があり、眺めているだけでも時間を忘れてしまう。孤島とはいわば「たまたま水面上に地面の一部が出てしまった」という場所。そこに神々しさすら感じるのはなぜだろう。

各島の紹介ページには位置や面積などのプロフィール欄があるのだが、そこにわざわざ人口の欄もある。当然すべてゼロ人。いらないだろその欄。

と思ったのだが、実は意味がある。紹介されている島の中には、かつては人が住んでいたところが意外と多いのだ。八丈小島や北硫黄島などがそうで、生活環境の厳しさから、あるいは戦争の影響で無人島になり、今に至っている。ただの「人口ゼロ」ではないのだ。

それにしても写真を見る限り「どうやってここで暮らしたんだろう」と疑問に思うような場所ばかりだ。北硫黄島なんて、平地が近所の空き地くらいしかない。人の営みの力強さを感じざるを得ない。

どの島も写真一枚に容易に収めることができるコンパクトさでありながら、数々のドラマが詰め込まれている。そんな島々の写真を眺めながらの空想旅行もいいものです。


執筆:Y村(「紀行」担当)



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