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「ビジネスの修羅場」を乗り切るコミュニケーション術

2016年11月09日 公開

池田 聡(経営共創基盤パートナー)

<著者に聞く>「修羅場の説明力」

取引先とのシビアな交渉やクレーム処理、上司への反論、不祥事におけるメディア対応――。ビジネスパーソンを取り巻く日常はまさに修羅場の連続だ。

冨山和彦氏率いる経営共創基盤(IGPI)で多くの企業の経営危機に立ち向かうなど、「修羅場」の最前線で陣頭指揮をとってきた池田聡氏。

このほど、「IGPI流リアル・ノウハウ」シリーズの番外編として『修羅場の説明力』を発刊した同氏に、危機時のコミュニケーションの重要性及び本書の生まれた背景について寄稿いただいた。

 

後を絶たないネガティブニュース

地方公共団体トップによる公費の私的使用、自動車会社における燃費不正問題、大手電機メーカーの粉飾決算……、メディアで大きく取り上げられるネガティブなニュースは最近も後を絶ちません。

もちろん、法律に触れたり、悪意ある行為は許されるものではありませんが、企業や組織の中でさまざまな事故や判断ミスがあるのは、人間の行為である以上、避けられないのも事実です。

ではそうした状況、すなわち逆境に直面したときに私たちはどのように振る舞い、どう対応すればいいのか。どのように周りを巻き込み、納得させ、マイナスの影響を最小限に抑え込むべきなのか、そういったことについて「4つの力」(発信力・独立力・情報力・調整力)という観点から解説したのが、先日発刊した『修羅場の説明力』です。

冨山和彦氏も本書の解説で言及していますが、インターネット・SNSが普及した現在、追及する側・される側の双方の視点を理解することの重要性が以前にも増して求められています。

共同執筆者の小野展克氏は、元共同通信の記者で、財務省・経済産業省の担当を経て日銀キャップを務めた敏腕ジャーナリスト。いわば「追及する側」。

一方、私は日本銀行、産業再生機構、経営共創基盤で個別案件業務のほか広報を担当してきました。記者からすれば広報は取材対象であり、「追及される側」ともいえます。

そうした異なる立場を経験してきた小野氏と私は、ネガティブな状況下におけるコミュニケーションの要諦について、何度も議論を重ね、企業のトップだけでなく、現場で日々、シビアな状況に直面しているビジネスパーソンにも役立つノウハウを抽出しました。

 

「私からご説明できることはありません」は最悪

一般にコミュニケーションにおいて重要なのは、いうまでもなく伝達先(たとえば、上司、得意先、メディア)の状況、思考、利害、趣向などを踏まえたメッセージが発信できるかどうかです。

独りよがりな考えや自己弁護、あるいは企業や組織の都合などが優先されることで、本来の意図が伝わりにくくなり、かえって不満・反発を招くという展開だけは回避しなければなりません。

しかし、それは簡単なことではありません。台本・想定問答を用意していたとしても、冒頭で例示した組織トップのようにうまくコントロールできていないケースは枚挙にいとまがありません。

ありがちな光景として、以下のような場面を想像してみてください。

広報「これ以上の詳細な内容について、私からご説明できることはございません」

記者「あなたでは話にならない。事実関係に詳しい人を出してほしい。そもそもこのような重要な局面でなぜ経営トップが出てこないのか」

当事者ではなく、あえて他人事だと思って、少しクールに考えてみてください。

記者も他社との報道合戦の渦中で戦う一人の人間です。プレスリリースや記者会見の場で与えられた情報だけでは記事にならないような状況では引くに引けません。

また、広報担当者の発言や態度によって「この企業は逃げている。説明責任を果たしていない」といったネガティブな印象を記者に与えてしまえば、記事のトーンにも大きく影響することは必至といえるでしょう。

最終防衛線を明確にせよ >

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著者紹介

池田 聡(いけだ・そう)

経営共創基盤(IGPI)パートナー/マネージングディレクター

1967年、東京都生まれ。早稲田大学法学部卒。日本銀行にて金融機関の経営モニタリング等を担当。産業再生機構では企画調整室のほか、カネボウをはじめ5件の事業再生案件を担当。IGPI設立後は、大手航空会社・大手エネルギー会社の再建計画策定、事業再生ADRを活用した百貨店の再生、小売・飲食チェーン等の経営改善計画の策定に従事。内閣府企業再生支援機構準備室上席政策調査員、原子力損害賠償・廃炉等支援機構執行役員・参与などを歴任。

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