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残業を減らしながら業績を上げている会社は、何をしているのか?

2016年12月20日 公開
2022年07月14日 更新

良品計画/リクルートスタッフィング/パシフィックコンサルタンツ/ヤフー

「長時間労働が成果を生む」は間違いである

 

〔株〕良品計画
「業務の標準化」で仕事のムダを排除

 業務標準化委員会・石崎雅巳氏

 良品計画が本部での「ノー残業デー」を導入したのは2006年9月のこと。毎週金曜日の19時退社から始めて、2014年3月からは毎日18時退社になっている。残業率は7%以下だ。一方、売上げ、営業利益はともに2006年度から2015年度の間に約2倍に成長。まさに、残業削減と業績向上を両立させている会社である。これが実現できた要因は、ノー残業デーを始める以前に行なった業務の「仕組み化」にある。

「仕組み化は、2000年代に入って一時業績不振に陥ったときに始めました。その中心は徹底した業務の標準化です。店舗の業務について『MUJIGRAM』というマニュアルを作成するとともに、本部の業務についても『業務基準書』を作成しました。これさえ読めば誰でも業務の手順が理解できるようにしたのです」(石崎氏)

 マニュアルの徹底活用をはじめとした仕組み化、見える化、風土作りによって業績が回復したところで、さらなる業務効率化のために始まったのがノー残業デーだった。

「実施は段階的でした。毎週金曜日の19時退社を3カ月間実施して、定着の気配が見えたところで木曜日と金曜日の週2回に拡大。さらに1カ月後に毎日19時退社にしました。その後、2008年9月に18時半退社にして、それが5年半続きました」(石崎氏)

 短くなった労働時間の中で成果を上げられるのは、現場の努力によるものに他ならない。

「限られた時間内でいかに業務を終わらせるかを考えたときに、業務の標準化と見える化は欠かせません。そういった仕組みや風土の土壌が整って初めて、現場から残業削減のためのアイデアを出してもらうことができるのです」(石崎氏)

 各部門に、それぞれの業務の中で残業削減のために何ができるかを考えるように呼びかけ、地味ながらも効果の高いアイデアが各現場で実行されていった。

「2008年からは、半年ごとに『WH運動』という活動も始めています。WHとは『良いことは倍・ムダ半分に』という意味。部門ごとに生産性向上のためのテーマを設定してもらい、中間報告と成果報告もしてもらうボトムアップ型の活動です」(石崎氏)

 こうした取り組みは終わりがないと石崎氏は話す。

「アイデアを出して実践し続けないと元に戻ってしまう。これからも努力を続けていきたいですね」(石崎氏)

 退社後の時間を使って、社員たちは習い事をしたり、スポーツにいそしんだり、家族団欒の時間を過ごしたりと、それぞれの生活を充実させているという。

「私も語学スクールに通っています。以前は毎晩10時くらいまで働いていたのですから、大きな変化です(笑)」(石崎氏)

 

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