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「暴言王」トランプ氏の英語はなぜ米国人の心を捉えたのか?

2017年02月13日 公開

浅川芳裕(ジャーナリスト)

日本人にも真似できる説得力ある話し方の技術

 

「暴言王」と呼ばれながら、大方の予想を覆して米国大統領に当選したドナルド・トランプ氏。彼の発言は、なぜ多くの米国民の支持を受けたのか? トランプ氏が使う英語の特徴を、長年トランプ氏をウォッチし続けてきた浅川芳裕氏にうかがった。

 

あえて簡単な単語のみを使う

 英語では、音節の少ない単語を多く使っているほど、わかりやすい話をしていると判断されます。トランプ氏が、あるインタビューで、質問への回答に使った22単語をユーチューブ番組『Nerdwriter1』が分析したところ、78%が1音節、17%が2音節でした。合計すると9割を超えます。1音節の単語は「I」「go」など、2音節の単語は「problem」などで、日本の中学生でも馴染みがあるような簡単なものです。

 3音節の単語は「remember」を1回、「tremendous」を3回使っているだけ。tremendousは「ものすごい!」「とてつもない!」「とんでもない!」という意味です。米国人もあまり使わないのですが、トランプ氏は強調語としてあえてよく使っています。

 4音節の単語は、「temporary(一時的な)」と、地名の「California」だけ。カリフォルニアは地名なので使わざるを得ません。もう1つの「temporary」は日本の高校で習うレベルですが、トランプ氏はこの単語を発した瞬間、すぐに飲み込みました。「まずい! 使わないことにしている長い単語を使ってしまった」という感じでした。そして、ミスを帳消しにしようと、いきなり別の話に移ったのです。きわめて意識的に短い単語を選択している表われです。

 また、「リーダビリティーテスト」という手法による分析によると、トランプ氏のスピーチに出てくる単語は米国の小学4年生レベルだということです。ヒラリー・クリントン氏は中学2年生レベル、サンダース氏は高校2年生レベルでした。

 スピーチ中のセンテンスの長さの調査でも同様の結果になっています。トランプ氏は6単語という短いセンテンスを一番多く発しているのに対して、ヒラリー氏は12単語と倍の長さです。

 このように簡単な単語と短いセンテンスしか使わないのは、トランプ氏に教養がないからではありません。アリストテレスが『弁論術』に「聞きなれぬ言葉を使うな」と書いているように、シンプルに話したほうが人を説得できるからです。

 

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著者紹介

浅川芳裕(あさかわ・よしひろ)

農業ジャーナリスト

1974年、山口県生まれ。カイロアメリカ大学(AUC)中東史学科、カイロ大学文学部東洋言語学科セム語専科中退。英語、アラビア語通訳、ソニー中東新興市場専門官、『農業経営者』副編集長を経て、独立。農業経営コンサルタント。自身も田畑山林を保有、マネジメントする。『農業ビジネス』編集長、ジャガイモ専門誌『ポテカル』編集長。著書はベストセラー『日本は世界5位の農業大国』(講談社+α新書)、『TPPで日本は世界一の農業大国になる』(ベストセラーズ)、『日本よ!《農業大国》となって世界を牽引せよ』(共著、ヒカルランド)など多数。訳書に『国家を喰らう官僚たち アメリカを乗っ取る新支配階級』(新潮社)。近著に『ドナルド・トランプ 黒の説得術』(東京堂出版)がある。

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