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女性の挑戦機会を増やし、日本の課題を解決する!

2017年05月25日 公開

松本洋介(LiB代表)

【連載 経営トップの挑戦】 第20回
〔株〕LiB 代表取締役 松本洋介

 

 

代々商いを営む一家に生まれた松本洋介氏は、幼い頃から「一刻も早く自立したい。貧乏しても苦労してもいいから、自分で自分の人生のハンドルを握りたい」という思いを強く抱いていたという。そんな松本氏が創業事業に選んだのは、日本初のキャリア女性に特化した転職サービス、「LiBzCAREER(リブズキャリア)」。2014年4月の創業から3年目の今、登録者数は8万3000名を突破。今、世間では働き方改革や女性活用が盛んに叫ばれているが、「3年目にして、やっと本当にやりたいことができるようになってきた」という松本氏の目には、どんな働き方の未来が映っているのだろうか。

 

数ある転職支援サイトの中で
一体どこが日本初なのか?

――他の転職支援サービスでも女性用を銘打ったものは目にしますが、「LiBzCAREER」はどのような点で日本初なのでしょうか?

松本「LiBzCAREER」は、日本初の即戦力キャリア女性「限定」の転職マッチングプラットフォームです。自分に合った仕事を探す女性と、女性の力を求めている企業が出合うお手伝いをしています。

一般的な転職支援サービスは、「男女両方募集していますよ」というかたちでありながら、実は男性の転職をベースに考えられたサービス設計になっていて、その中に一部女性コーナーがある、というのが率直な印象です。実際、そのようなサービスにおける募集では蓋を開けてみると男性ばかりが求められていたり、女性からすると「本当に企業側が女性を求めているのかどうかわからない」「女性が働きやすい企業なのかわからない」といった不安の声をお聞きすることも多くありました。さらに、大手の転職サイトなどでは正社員雇用が中心である点も、男性メインのサービスと思える原因です。女性の場合、男性よりもキャリアとライフステージが密接に関わり合うため、正社員雇用ばかりが希望されるわけではないのです。

そんな不安を解消することから始まって、女性だけのことを考えたサービスを作ろうとすれば、当然、普通の転職支援サービスとはまったく違ったものになります。でも、世の中には、女性のためだけの転職支援サービスがありませんでした。

――それで、日本初となる「ゼロベースで女性のためだけに作られた」転職支援プラットフォームを作られたのですね。

松本 結果、創業以来3年間で8万3000人の女性に登録いただくことができました。企業のほうは、LiBzCAREERに登録いただいているということはすなわち「女性に活躍してほしい」と明言している企業ですから、前述のような「実は男性が採用されやすい」であるとか、「まったく女性フレンドリーでない企業だった」といった問題を防ぐことができます。

――具体的にはどんなところが、他のサービスと異なるのでしょうか?

松本 LiBzCAREERでは、女性が自分で企業を探せるのはもちろん、転職を支援するキャリアコンサルタントも選ぶことができる、という特徴があります。ユーザーはコンサルタントの顔写真や実績の他に、女性支援への思いなども知ることができます。それを見て、「この人に相談してみたい」という人を選べるわけです。

行きたい企業を自分で選択し、アプローチできる人はそのまま応募ができますし、誰かに相談しながら進めたいという人は、自分に合いそうなキャリアコンサルタントを選んで相談することができる。とくに女性は、誰に相談するか、という点を大切にされる方も多いので、キャリアコンサルタントを選べるサービスは好評です。

――女性の心情面をよく洞察されたサービスなのですね。

松本 また、ユーザーの履歴書を見て、コンサルタントや企業から「声がかかる」のも特徴です。女性は男性に比べ、「求められるところで働きたい」という気持ちが強い方が多いので、自分の履歴書などを見て声がかかると興味を持っていただけることが多いのです。コンサルタントは毎日、どんな方が登録されているか見ていて、登録してすぐにスカウトが飛んでくる、といったこともあります。
つまりLiBzCAREERというマッチングプラットフォームでは、「ユーザーから企業に応募」「企業からユーザーへ声がけ」「ユーザーからコンサルタントに相談」「コンサルタントからユーザーへ声がけ」と、企業⇔ユーザー、コンサルタント⇔ユーザーという双方向のやりとりが行なわれているのが特徴です。

――出会える仕事もユニークなのでしょうか?

松本 ひと言でいえば、LiBzCAREER最大の特徴は、「多様性求人」です。女性は男性に比べて、ライフステージによってキャリアが左右されやすい。結婚に始まり出産、育児、それから今後、増加するであろう介護。どれも女性だけに関係する出来事ではないものの、現状、こうしたライフイベントがキャリアに影響を及ぼしやすいのは圧倒的に女性です。さらに、たとえば出産ひとつとっても、20代で出産するか40代で出産するか、時期によってそのキャリアプランは大幅に変わります。

人生の様々な局面において、そのときどきにあわせた働き方があってしかるべきだというのが、私たちのミッションの根っこにあります。だからLiBzCAREERでは、時間や場所の制約を受けにくい時短やリモートワークはもちろん、まだまだキャリアを伸ばしたい・成長したいという女性のためのキャリアアップという選択肢も、新しい仕事に挑戦したいというキャリアチェンジの選択肢も、さらには働き方のペースを抑えたい、増やしたいといったモードチェンジの選択肢も、子育てが一段落して再び社会に参加したいというリキャリアの選択肢も、人生のステージに合った働き方を細やかに提案できるようになっているのが特徴です。
究極的には、それぞれの方ごとに異なるライフステージすべてに対し、都度提案できる働き方がある、という状態にするのが理想ですね。

 

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自分のためだけに24時間使える人は、 これからはほとんどいなくなる >

著者紹介

松本洋介(まつもと・ようすけ)

〔株〕LiB 代表取締役

明治大学卒業後、2003年に株式会社リクルート入社。タウンワーク、ホットペッパーでは全国営業MVPとして受賞歴多数。新規事業開発室にてエルーカ創刊に携わった後、2007年4月「東証マザーズへの上場実現」をミッションとしてトレンダーズ株式会社にCOOとして入社。2010年6月より取締役就任。2012年10月営業取締役としてミッションであった東証マザーズへの上場を実現。2014年3月の退任時には、入社当時2億強だった売上を約20億まで牽引。2014年4月1日株式会社LiB創業、代表取締役就任。

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