佐々木俊尚 ヴァーチャルの進化が企業にもたらす変革とは

「VR」は我々の仕事や生活にどんな影響を与えうるのか。テクノロジーについて豊富な知見を持つ作家・ジャーナリストの佐々木俊尚氏にうかがった。
2017年08月08日 公開
変化の激しいこれからの時代、生き抜くための新しいスキルが必要なのは、私たちよりむしろ子供たちの世代である。今小学校6年生の子供が40歳になる2045年頃には、多くの仕事がAIに替わると予測するのは、海外でのビジネスを経てAI教材で教える学習塾を立ち上げた神野元基氏。子供に何を教え身につけさせるべきか、未来予測とともに、詳しくうかがった。《取材・構成=村上敬》
2045年には、「シンギュラリティ」(技術的特異点)を迎え、人工知能が人間の能力を超えることで、人間には未来予測ができないほどのスピードで社会が変革する時代がやってくると言われています。
その頃には、既存の職業の多くが人工知能(AI)やロボットに代替されています。今ある職業が残っていても、その職業に求められるスキルは大きく変わっているはずです。そのような時代の到来に備えて、子供たちに何を教えるべきでしょうか。
個別の職業の未来については後述するとして、まずは全体の傾向をお話しすると、肉体労働や単純作業などの仕事はほとんどがAIに代替され、人間がやるべき仕事ではなくなるでしょう。逆にその時代にも残るのは、圧倒的な能動思考を求められる仕事――つまり自分で社会の問題点を見つけて解決しようとしたり、自ら新しいものを生み出そうとしたりする仕事です。
たとえば、起業家はその一つです。社会の問題点を見つけて、それをビジネスで解決しようと行動するのが起業家ですが、こうした活動は人間だからできることです。また、かつて起業家が解決策を実行するときには、一緒にやってくれる人を集めて組織を作らなくてはなりませんでした。しかし、今後は人工知能がサポートしてくれるので、人材をハンティングする必要もない。起業のハードルは下がり、起業家は増えていくでしょう。
人工知能時代に第一線に立つために重要な「圧倒的能動思考」を身につけるためには、子供の頃からの考え方が重要になってきます。残念ながら受動思考で育った人が能動思考に変わるのはとても難しいことです。受動的でいることがその人にとっての成功体験になっているので、思考を変えられないのです。
そこで、もしお子さんに能動思考を身につけさせたければ、家庭でそのように教育する必要があると言えます。そのために大事なのは、好きなことをとことんやらせることだと考えます。具体的には、子供が関心のあるものを聞いて、目標を設定させて、目標を達成するために必要なことを考えさせ、PDCAを回していく。それによって目標を達成したり、近づいた実感を得られれば、子供は自信とチャレンジ精神を手に入れて自ずと能動思考になっていきます。
関心の向く先が、たとえばソーシャルゲームやYouTubeであっても構いません。今四十代くらいの人は、親から「漫画ばかり読んではダメ」と言われて育った人もいると思いますが、漫画から学ぶことは多いということも同時に知っているのではないでしょうか。
それと同じで、子供たちは親世代にはわからない新しいやり方で頭の大事な部分を鍛えています。自分の世代の常識で測ってはいけません。好きなことをとことん極めさせてこそ、未来を生き抜ける人になれるのです。
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