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無料と言いつつ請求する「トーゴ流営業術」(トーゴ)

2017年08月03日 公開
2023年05月16日 更新

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(24)石澤義裕(デザイナー)

動線をまったく無視したイミグレーション

国境の手続きそのものは、簡単です。

ただ、建物や部屋が手続き順に並んでいません。行っては戻りの、妙に複雑怪奇に入り乱れた生活動線です。

ガイドがいないと、一見さんではちょいと難しい。

迷っては、その都度その辺の人にこっそりと尋いていたところ、いつのまにか、固定のおじさんが付かず離れずで案内してくれます。ロックオンされたようです。

「おじさん、悪いけど、お金ないから、払えないから。案内しないでくれる?」

「お金は要らない」

ニカーって笑います。

出たっ、アフリカの笑顔。

しかし「お金要らない」ほど、信用ならない言葉もありません。

「おじさん、お金ないから、ホント払えないから。案内しないで!」

「お金は要らない」

ニカーって笑います。

この会話を繰り返しているうちに、手続きが終了。

件のおじさん、これ以上ない満面の笑顔で

「チップくれる?」

腰が抜けそうです。

 

「お金は要らない」を信用するな!

さて、駐車場に戻ったところ、我が家の車を触っている怪しい男性を発見。

ブレーキランプの下に、反射板シールを貼っているのです。

「ちょっと、おじさん、勝手になにしてんの? シールを貼ってもお金は払わんよ」

白衣らしきものを着た牧師風の彼は、顔の前で軽く手を振りながら

「お金は要りません」

「これは好意ですから」

ニヤニヤ~。

出たっ、アフリカの笑顔&もっとも信用ならぬ言葉。

あ、そう、お金要らないの、じゃあサイナラと駐車場を出たら、ウサイン・ボルト並みのスピードで走って来て、

「でも、神様が見ておられます~」

図々しく差し出す、神の右手。

苦笑いしながらアクセルを踏むと、追いかけて来る愛想笑い。

「神様が~~~」

神様も笑っておられることでしょう。


首都の住宅街。戦争かってくらいの野焼き。大胆すぎます。

著者紹介

石澤義裕(いしざわ・よしひろ)

デザイナー

1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。新宿にてデザイナーとして活動後、2005年4月より夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。

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