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多様化するモチベーションをどう管理するか

2017年10月09日 公開

小笹芳央(リンクアンドモチベーション会長)

 

気乗りしないときは「地球儀」を眺める!?

では、個人と組織の双方におけるモチベーション管理の方法はそれぞれどうすべきか。まず「個人」についてだが、モチベーションが最も高い状態とは自分が「やりたいこと」「やれること」「やるべきこと」の三つが重なり合うときだという。

「この三つの重なりを追い求めることが、個人のモチベーションアップにつながります。ただ、今は『やりたいこと』が十人十色で、『やるべきこと』と一致しないことも多い。やるべき仕事と頭で理解していても、気乗りしない仕事もあるわけです。
モチベーション管理のうまい人は、仕事に取り組むことの意味を理解しています。『これをやり遂げれば自分の成長につながる』と意味づけできる人は、その仕事にエネルギーを注ぐことができるのです。その点、上司側も部下の意味づけを手助けして、本人のやる気を引き出すマネジメントが求められています」

ただ、どんなにやる気がある人でも、モチベーションが下がるときはある。

「モチベーションが下がったとき、気持ちを立て直す方法を自分なりに持っておくとよいでしょう。たとえば、友人と飲みに行くと元気になるとか、夜空を眺めると気分が晴れるとか、モチベーションを引き上げる方法は人それぞれで構いません」

小笹氏の場合、気分が沈み込んだ時は、よく「地球儀を眺める」と話す。

「地球儀全体を見渡すと視野が広がり、自分の悩みが小さなことのように思えて、気持ちが晴れていきます。これは自分の頭の『空間』を切り替える作業です。そのほかにも、目先のことで行き詰まったら、5年後、10年後の未来を具体的に考えてみたり、あるいは先のことを不安に感じるときは、今日1日でうれしかったことや改善できたことを書き出し、今という時間にフォーカスしたりしています。これは『時間』の物差しを切り替える作業です。悩み事にとらわれてやる気の出ない状況から脱却するには、このように頭の中の『空間』や『時間』を切り替えると効果的です」

 

会社を仮想的にするリーダーは続かない

では、組織として個々のモチベーションを束ね、目標達成に導いていくにはどうすればよいのだろうか。組織全体のモチベーションを高めるには、ビジョンや理念、戦略、方針などの共有がカギとなる。

「これまで数多くの組織変革をサポートしてきた経験から言えば、リーダーのビジョンや理念に一貫性があり、それがチーム全体に共有され浸透していると、メンバーのモチベーションも一様に高い傾向にあります。反対に、リーダーが自分の経験とスキルによって組織を束ねようとしている組織では、メンバーのモチベーションも低いという結果が出ています。『自分たちはなんのために働くのか』ということが、組織で働くあらゆる人を束ねる軸となるからです」

ビジョンや理念の発信・共有は、組織のトップの仕事だと思われがちだが、実はそうではないと小笹氏。

「部署やチームのリーダーも、会社のビジョンや理念から落とし込んだそれぞれの部署やチームの戦略を、自分たちの言葉で語る必要があります。
ここで気をつけるべきことが一つあります。中間管理職にありがちな例として、会社を仮想敵にして一致団結を図ろうとすることがあります。それは短期的に見れば人がついてくることもあるのかもしれませんが、実際は長続きしません。リーダーが語るミッションや戦略の上には、会社の方針があります。その二つのベクトルが一致していなければなりませんから」

 

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著者紹介

小笹芳央(おざさ・よしひさ)

リンクアンドモチベーション会長

1961年大阪府生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、リクルートに入社し、人事部で採用活動などに携わる。組織人事コンサルティング室長、ワークス研究所主幹研究員などを経て独立。2000年に株式会社リンクアンドモチベーションを設立し社長に就任。’13年から現職。モチベーションエンジニアリングという同社の基幹技術を確立し、幅広い業界からその実効性が支持されている。
著書に、『1日3分で人生が変わるセルフ・モチベーション』『変化を生み出すモチベーション・マネジメント』(以上、PHPビジネス新書)、『会社の品格』(幻冬舎新書)、『お金の話にきれいごとはいらない』(三笠書房)など多数。

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