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語学は「全身と全感覚」を 使って覚えよう

2017年09月23日 公開

安河内哲也(東進ハイスクール 講師)

カリスマ講師が伝授!

暗記するためにひたすら単語帳をめくり、ノートに書きなぐる……そんな経験から、語学の勉強に苦手意識を持つ人は少なくないはず。だが、英語を始めとする語学学習の重要性はますます高まっている。そこで、人気英語教師であり、自らも英語以外の語学習得を続けている安河内哲也氏に、楽しく簡単に語学を学ぶコツをうかがった。

 

何のために暗記するのか「言語の四領域」で考える

 語学の学習に際し、単に英単語を五千語覚えるとか、TOEICで何点を目指すといった指標に向かって必死に単語を暗記している人をよく見かけます。ただ、これではその指標が達成された瞬間、単語は頭から抜け落ちていきます。

 本来、語学を学ぶ目的はその言語を「使う」ことのはずです。暗記をする前に、覚えた単語をどのように使うのか。まずは暗記の目的を設定することが重要なのです。

 具体的には、「読む」「聞く」「書く」「話す」の四領域のどれを上達させたいのかをハッキリさせること。四領域の単語は、「読む」「聞く」「書く」「話す」の順にレベルが低くなり、それに従って覚える単語はもちろん、覚え方も異なるからです。 「話す」「書く」といった、自ら発信するのに必要な単語を「アクティブボキャブラリー」と呼びます。これは基本的な単語だけで十分ですが、使い方を正確に覚える必要があります。いかに正確に伝えられるかが問われるからです。

 一方、「読む」「聞く」ことで、ニュースや新聞などから情報を仕入れるのに必要な単語を「パッシブボキャブラリー」と呼びます。幅広い情報をキャッチするために、より多数の語彙を記憶する必要があります。ただ、意味さえ理解できればいいので、使いこなせる必要はありません。

 四領域に関する目的設定は、語学のテストを受ける場合にも役立ちます。たとえば、TOEICには三種類のテストがあります。「聞く」「読む」力を測るTOEIC Listening & ReadingTest、「話す」「書く」力を測るTOEIC Speaking & WritingTest、「話す」力を測るTOEICSpeaking Testで、それぞれ求められる単語が違うのです。

 ところが、「話す」試験を受ける人がやたらとレベルの高い単語ばかり覚えようとしたりといったケースが意外と多いのです。これでは試験の点数も上がりませんし、話せるようにもなりません。

 もう一つ考えたいのが、どの分野の単語を習得したいのかということ。日常会話や海外旅行で使う単語なのか、それともビジネスで使う単語なのか。それによって覚えるべき単語が違ってきますし、使うべき教材も異なります。

 英語で言えば、海外旅行や映画鑑賞など日常生活で使う英語を上達させたいなら英検、ビジネス目的ならTOEIC、留学などアカデミックな目的ならTOEFLのテキストが適しています。

単語数を増やしたいなら「仕事関連の単語」から

 目的が定まったらいよいよ学習を始めるわけですが、コツはとにかく「楽しみながら繰り返す」こと。言語の習得には反復が不可欠。しかし、仕事が忙しい中で単語集を何度も読み返すなど、余程ストイックな人でなければできません。無理なく続けられる暗記法が必要なのです。「話す」「書く」力を伸ばしたい方は、身体全体を使って覚えることをお勧めします。たとえば、韓国語の「大きい(クダ)」という単語を覚えるなら、手で空中に大きな円を描きながら、大きな声で「クダ」と唱えるのです。「身振り手振りを使う」「声に出す」「耳で聞く」「イメージする」など、全感覚を総動員し楽しみながら記憶することで、脳が飽きにくくなり、繰り返しの暗記が苦ではなくなるのです。

 その際には、単語だけを覚えるのではなく、例文ごと覚えるようにしましょう。アクティブボキャブラリーは単語だけで使うことはほぼないからです。

 たとえば、「successful」という形容詞を単に「成功した」と覚えようとしても、なかなか覚えられません。「He is a successful businessman.」(彼は成功した実業家です)や「 He owns a successful business.」( 彼のビジネスはうまくいっている)といった文章になって初めて、意味が成り立つのです。

 一度覚えた単語を忘れないためには「繰り返し使う」ことが重要。覚えた単語をスカイプ英会話で使ったり、英語でSNSの発信をしたりして、記憶に定着させましょう。

 ちなみに、単語数を効率的に増やしたいのなら、自分の専門分野の単語を覚えていくのがお勧めです。仕事で使う単語なら使う機会も多く、繰り返し触れることで習得も早まります。まずは、自分の仕事に関する単語から優先して覚えるとよいでしょう。

単語集よりも映画の台本を使おう

 一方、パッシブボキャブラリーを覚える際は、「聴く」ことを意識するといいでしょう。具体的には、音声教材を繰り返し聴くこと。ただ聞き流すのではなく、テキストつきの音声教材を使うのがお勧めです。聞く力と読む力を同時に鍛えられるからです。耳で聞いた音声を真似ながら声に出し、ここでも例文ごと覚えるといいでしょう。

 また、できれば発音記号の読み方も勉強しておくべきでしょう。より正確な発音を身につけることができます。

 しかし、比較的難しいパッシブボキャブラリーを暗記するのはなかなか大変です。楽しく続けるためには、自分が面白いと思えるストーリーを使って学ぶといいでしょう。

 たとえば、自分の好きな映画を「iPod」などに録音し、繰り返し聞く。そして音声を聞きながら、映画の台本を繰り返し読むのです。これなら忙しい人でも、通勤などのスキマ時間にできるはずです。

 単語集にひたすら目を通すだけの記憶法はあまりお勧めしません。単語はつづりを見ただけでは正しい発音がわからないからです。これではせっかく覚えても聞き取れず、聞き取れない音は声に出すこともできないのです。そもそも、ひたすら単語集をめくるような勉強法は、余程ストイックな人でなければ続かないと思います。

 すべての語学は、一度暗記したとしても、使い続けなければ忘れてしまいます。いわば車の運転技術のようなものです。生活の中に自然に取り込めて、無理なく楽しく続けられる勉強法を見つけてください。

 

『THE21』2017年7月号

 

取材構成 前田はるみ

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著者紹介

安河内哲也(やすこうち・てつや)

一般財団法人実用英語推進機構代表理事/東進ハイスクール・東進ビジネススクール講師

1967年、福岡県生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業。東進ハイスクール・東進ビジネススクールのネットワーク、各種教育関連機関での講演活動を通じて実用英語教育の普及活動をしている。とくに各種4技能試験の普及活動にも熱心に取り組んでいる。文部科学省の審議会において委員を務め、大学入試への4技能試験導入に向け、積極的に活動中。TOEICスコアは1390点満点(LR+SW )。『安河内哲也の大人のための英語勉強法』(フォレスト2545新書)、『勉強の手帳』(あさ出版)など著書多数。

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