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人間関係のストレスを軽くする「4つのR」とは?

2018年01月09日 公開
2018年01月25日 更新

渡部 卓(帝京平成大学現代ライフ学部教授)

「戦略的お世辞」が関係改善に役立つ

こうして気持ちを整えるのと並行して、職場で実際に相手と接するときの行動についても見直しましょう。

嫌いな相手を全否定するのは決めつけ過ぎであると述べましたが、世の中にはたしかに「難物」も多いと感じます。

「人の話を聞かない上司」はその代表格。一方的な指示、朝令暮改、責任の押しつけなど、行動は人によりさまざまですが、共通するのは「自分ばかり話して傾聴しないこと」です。

その対処法は、「おだてる」こと。話を聞かない上司にはタイミングを見て、「いつもじっくり話を聞いてくださりありがとうございます!」とさりげなく芝居をうつのです。

人間は褒められると、その行動を繰り返す性質があります。上司は知らず知らずのうちに自分の悪癖を改善し、「良い上司」に近づく可能性もあります。

「ゴマすりは嫌だ」などとは考えず、ここは戦略的にお世辞を使うのも、試す価値がある選択です。

一方、上司の立場にある人は、自分がストレスを与える側になっていないか振り返ることが大切。とくに「傾聴」は、イマドキの良い上司の必須条件です。

海外でも現在、押し出しの強いトップダウン型上司よりも、聞き上手型の上司のほうが「真のリーダー」と目されるようになってきています。

日本では優れたリーダーというと、「統率力があって頭が切れ、英語も使いこなす国際派」といったイメージがまだまだ主流です。しかしグローバル社会で重視されるのはむしろ共感力などのコミュニケーション力。傾聴の姿勢はもちろん、ユーモアや明るさも持ち、それでいて仕事もスマートにこなすことが求められます。

もちろん、それには上司自身が心の余裕を保つことが不可欠。それには、図に示した「四つのR」に基づく休息法を上司自ら実践するのがベストです。

率先して休み、遊ぶことで自身のストレスマネジメントもできますし、チーム全体にも休みやすい環境をつくれます。

働いている時間内でも、上手に息抜きを促し、くつろいだ空気をもたらせれば理想的です。こうした働きかけが、職場の人間関係改善の源になるでしょう。

 

4つの「R」でストレス軽減!

休息には、方法・目的がそれぞれ違う、4つの種類がある。この四つを上手に使い分け、ストレスをリセットしよう。

Rest(レスト)
肉体の疲労を取り除く「休憩」のこと。睡眠、マッサージ、ソファでくつろぐなど、身体を休める行為は時間の長短に限らず、ここに含まれる。

Recreation(レクリエーション)
遊びや娯楽を通して、気分転換を図ること。楽しいひとときを過ごすことで、沈滞した状態から、新たな自分を「Re(再び)create(創造)」できる。スポーツ、楽器演奏、散歩やサイクリングなど、ビジネスマンが楽しめるレクリエーションは幅広い。

Relaxation (リラクセーション)
強い身心の緊張を、ひととき緩めること。最も確実にリラックスする方法は「腹式呼吸」。息を吐くときにリラックスさせる副交感神経が優位になるので、丁寧に、ゆっくりと吐き出すのがコツ。

Retreatment(リトリートメント)
いわゆる「転地療法」。普段いる場所から物理的に距離を取ることで、仕事の疲れを癒す方法。中でも効果的なのは温泉と森林浴。森林や温泉では五感が心地よく刺激されるので、溜まったストレスを洗い流してくれる。

 

《『THE21』2017年12月号より》

著者紹介

渡部 卓(わたなべ・たかし)

帝京平成大学現代ライフ学部教授/ライフバランスマネジメント研究所代表

大学卒業後、モービル石油に入社。コーネル大学で人事組織論を学び、ノースウェスタン大学でMBAを取得。その後日本ペプシコ社、シスコシステムズ等を経て2003年にライフバランスマネジメント社を設立、職場のコミュニケーションの指導に当たる。研修講師やエグゼクティブコーチとしても活躍。

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