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【今週の「気になる本」】『世界をまどわせた地図』

2018年04月20日 公開
2018年04月20日 更新

エドワード・ブルック=ヒッチング著

空想と妄想と見間違え、そして詐欺師たちの夢の跡

美しい古地図の本は数あれど、本書はなかなかにトリッキーな一冊。

「実際には存在しないのに、あることにされていた大陸や島、街が載った地図を集めた本」とのことで、誰が買うんだと心配になり、つい購入してしまいました。

「実際には存在しなかった場所」というと、たとえばアトランティスとかエルドラドなどが有名ですが、実際には大小さまざまなものがあったようです。

単なる見間違えや伝説が拡大解釈されたものが多いようですが、面白いのは確信犯的に嘘をついた人間が結構いること。
「俺は新しい島を見つけた!」と冒険記などを発刊して一儲け、というわけです。

よく「あることを証明するよりも、ないことを証明するほうが難しい」といいますが、実際、そのまま100年以上も地図に載り続けた例もあり、メキシコのある島は、今世紀(2000年代)になってやっと不在が証明されたそうです。
ひどい話ですが、ある意味ロマンがあるとも言えそうです。

ロマンがあると言えば、大西洋にあったという「メイダ島」の話。

何人もの船乗りたちに目撃され、長い間地図に載りつづけたこの島は、結局「見間違え」ということになり、地図から消えました。

ただ、わりと最近になってから、メイダ島があったと推定される場所の海底がかなり浅くなっていることがわかったそうです。
つまり、かつてここに島が顔を出していた可能性もあるわけで、それを本当に誰かが見たのかもしれない……と、ロマンが膨らみます。

ユヴァル・ノア・ハラリ著『サピエンス全史』によれば、ホモ・サピエンスは空想する能力を得たことで、他の人類より優位に立ち、今の繁栄を実現したとか。
そんな人類の無限の想像力を刺激してくれる一冊でもあります。


執筆:Y村

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