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相手の「好奇心」を刺激するとっておきの方法とは?

2018年05月25日 公開
2023年03月16日 更新

犬塚壮志(士教育代表取締役)

人は「秘密」に弱いもの

「知的でわかりやすい説明には型がある」と主張する、元予備校人気講師の犬塚壮志氏。中でも冒頭のつかみで大事なのが、相手の好奇心を刺激することだという。だが、それは簡単なことではない。いったい、どうすればいいのだろうか。

 

相手を食いつかせる2つの方法

「わかりやすい説明」のためには、人に興味を持ってもらうことが大事。とはいえ、「好奇心なんて簡単に刺激できないよ」―─こう思う方もいるかもしれませんね。確かに、慣れないうちは好奇心を意図的に刺激することにハードルを感じるかもしれません。でも、あるんです、誰でもすぐに好奇心を刺激できるとっておきの方法が……。

その方法とは、「とりあえずこう話しておけば、相手はノッてくれる」という、説明下手だった私の鉄板のノウハウです。それが次の2つです。

1 一文に〝矛盾〟を入れる

2 〝秘密〟を醸し出す

「一文に〝矛盾〟を入れる」というのは、たとえば「世界最弱のライオンとは?」のように「弱い」と「ライオン」という相反するイメージの言葉を同時に入れるのです。

「〝秘密〟を醸し出す」というのは、あなたの説明する内容がこれまでオープンになっていないということを匂わすのです。

この2つのどちらかを使うだけで十中八九、相手は食いついてきます。

ただ、これだけではよくわからないと思いますので、具体例も交えて1つずつ詳しく解説していきますね。

まずは1の「一文に〝矛盾〟を入れる」からいきましょう。

 

人は「矛盾」に驚く

「そういえばさ、……あっ、やっぱいいや」―─友人からこんなふうに言われたことはありませんか? そのときって、なんかモヤモヤして、話の続きが気になったりしませんか?「なんだよ。最後まで言えよ!」みたいな。

この「一文に〝矛盾〟を入れる」というのは、相手のそのモヤモヤ感を利用したものなのです。

人は、矛盾が出てきたときになんだか気になってしまう、そのモヤモヤした不快感をどうにか解決したい――そう思ってしまう生き物なのです(これを認知不協和といいます)。これを利用すると、多かれ少なかれ相手の頭の中に「?」を入れることができます。それで相手の興味をひくのです。

たとえば、次のようなフレーズです。

「健康にいい毒があるって知ってた?」

「燃える氷って知ってる?」

「ポイ捨てOKなペットボトルがあるんだよね」

つまり、「ちょっと変だぞ」と意図的に違和感を感じさせるのです。

これは「毒は体に悪いもの」「氷は燃えない」「ペットボトルのポイ捨てはダメ」など、そもそも相手がもっているであろう認識を利用しているのです。その逆をあえて衝いているテクニックなのです。

こうやって、1つの文に、対義的なワードやフレーズを意図的に入れるのです。

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提示したモヤモヤは必ず「解消」してあげよう >

著者紹介

犬塚壮志(いぬつか・まさし)

 (株)士教育代表取締役/コンピテンシー・ブランドプロデューサー

福岡県久留米市生まれ。元駿台予備学校化学科講師。業界最難関といわれている駿台予備学校の採用試験に25才の若さで合格。駿台予備校時代に開発したオリジナル講座は、開講初年度で申込当日に即日満員御礼となり、キャンセル待ちがでるほどの大盛況ぶり。その講座は3,000人以上を動員する超人気講座となり、季節講習会の化学受講者数は予備校業界で日本一となる。「教育業界における価値協創こそがこれからの日本を元気にする」をモットーとし、講師自身の「コア・コンピテンシー」を最大限に生かした社会人向けビジネスセミナーの開発や講座デザイン、テキスト作成などを請け負う事業を興す。予備校講師時代の経験を生かし、自分ブランドを活用した教育プログラムをビジネスパーソンや経営者に向け実践中。また,企業向け研修講師としても登壇し、さらに企業研修そのものをプロデュースするビジネスもスタートさせる。その傍ら、東京大学大学院で「学習環境」をテーマとした研究も行う。主な著書に、3.5万部越えのベストセラーとなった『頭のいい説明は型で決まる』(PHP研究所)、『偏差値24でも、中高年でも、お金がなくても、今から医者になる法』(KADOKAWA)などがある。

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