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radiko「音声コンテンツのロジスティクスとして、ラジオの可能性を広げる」

2018年06月07日 公開
2022年10月25日 更新

【経営トップに聞く】青木貴博(radiko社長)

 

ラジオの面白さを知ってもらう「導線」を増やす

radiko

 ――サービスの立ち上げ時に、苦労したことは何でしたか?

青木 配信のための基盤整備でしょうか。当時は通信回線がよくありませんでしたし、互助会のような組織だったので、資金も限られていましたから。

 作業量としては、権利者から配信の許諾をいただくのが大変で、これは今も続いています。ラジオ番組には、出演者や制作者だけでなく、流した曲の権利者など、数多くの権利者が関わっていますから。

 ただ、皆さん、非常に協力的なので、苦労というわけではありません。作業自体も、当社がすべてをやっているわけではなくて、各放送局と連携してやっています。

 ――ユーザーが増え続けてきた理由はなんでしょうか?

青木 大きな要因は、スマホの普及だと思います。スマホが普及するのと軌を一にして、ラジコのユーザーも増えてきたように感じています。もちろん、普及するだろうと予想していたから始めたサービスなのですが、予想を上回るペースでした。

 今、パソコンとの併用も含めると、ユーザーの8割が、スマホでラジコを使っています。

 また、音声コンテンツの本領が発揮されたということもあるでしょう。先ほどお話ししたように満員電車の中でも楽しめますし、街を歩きながらでも楽しめるのが、音声コンテンツの特長です。

 ――ラジコによってラジオ番組の聴取者が増えることで、放送局にはどんな影響が出ているのでしょうか? たとえば、広告の単価が上げられるとか……

青木 そういうことでやっているわけではなくて、当初から難聴取エリアの解消が目的の一つだったように、ラジオを聴いてくれる方を増やすのがラジコの役割です。聴取者が増えることで、結果的に番組が売れやすくなるということは、あるかもしれませんが。

 ラジコには、「タイムフリー」という、過去に放送された番組を1週間まで遡って聴ける機能もあります。これも、目的の一つは聴き逃した番組を聴けるようにすることですが、もう一つ、より多くの方にラジオを身近に感じていただくという目的もあります。

 たとえば、オールナイトニッポンでナインティナインの岡村隆史さんが話したことが、ネットで記事になる。それを読んで興味を持った方が、仕事帰りの電車の中で、タイムフリー機能を使ってオールナイトニッポンを聴く、ということができるわけです。

 そうすることで、それまでラジオを聴く習慣がなかった方にも、ラジオの面白さを知っていただけます。ラジオの面白さを知ってもらうに至る導線を増やす、ということです。

 実際、ユーザーのうち、ラジコを使うことで、初めてラジオを聴いた、あるいは久しぶりに聴いたという方が、3~4割を占めています。

 

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著者紹介

青木貴博(あおき・たかひろ)

〔株〕radiko代表取締役社長

1970年、東京都生まれ。93年、〔株〕電通入社。主にラジオ領域の業務に従事。2009年、IPサイマルラジオ協議会発足と同時に運用担当(事務局)へ。11年、〔株〕radiko設立と同時に出向。業務推進室長を経て、17年より現職。

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