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「ランチタイム」を活用してチーム力を強化しよう

2018年08月21日 公開
2023年03月14日 更新

伊庭正康(らしさラボ代表)

 

会議室での会話は「詰問」になりがち

 部下に新しい仕事をお願いする際にランチに誘う、というのも有効です。正式に決定する前に、本人の意思を確認しておく場として使うのです。

 また、部下のモチベーションを上げるためにも、ランチタイムを活用することができます。

 私がなかなか成果を上げられなかったとき、ランチに誘ってくれた上司がいました。

「叱られるかもしれないな」と思っていると、蕎麦屋に連れて行ってくれて、

「気を落とすなよ。俺にも、そんなときがあった」

 という話をしてくれました。

 500~600円の蕎麦を1杯食べながらの、わずか20分くらいの話です。それだけで、私はやる気を取り戻しました。

 私が上司の立場で、ランチ中に、部下から「退職したい」と言われたこともあります。理由は、「ベンチャー企業に誘われているから」ということでした。

 上司としては、辞められては困るので、

「その先はどうするの?」

 と聞くと、「自分で起業したい」とのこと。

「じゃあ、なんですぐに起業しないの?」

 と聞くと、「ビジネスモデルを作る自信がないから」という答え。

「ビジネスモデルさえ作れたら、起業できるの?」

 と、また聞くと、「マネジメントにも自信がない」と言うので、

「マネジメントは、今の会社でできるじゃないか。マネジメントに自信を持ててから辞めればいいんじゃないか」

 という話をしました。

 こうしたやりとりを会社の会議室ですると、詰問になってしまいます。しかし、ランチを食べながらだと、気軽にできます。

 

部下とのランチで絶対にNGなこととは?

 上司として部下をランチに誘う際、絶対に注意しなければならないことがあります。

 それは、誘う回数が多い部下と少ない部下が出てこないようにすることです。上司にはなんの気もなくても、部下の間に派閥ができてしまうからです。

 よく一緒にランチを食べる部下がいて、「最近、炭水化物を控えているんですね」などと職場で話しかけられたりするようになると、完全にアウト。他の部下たちは、「なんで、あいつだけ、そんなことを知っているんだ」と敏感に反応して、上司に対して不信感を持ちます。

《『THE21』2018年8月号より》

著者紹介

伊庭正康(いば・まさやす)

〔株〕らしさラボ代表取締役

1969年、京都府生まれ。1991年、リクルートグループ(求人情報事業)入社。営業としては致命的となる人見知りを、4万件を超える訪問活動を通じ克服。それでもリーダーになるのは避けていたが、ある時リーダーに抜擢されたことから一念発起。当初は「任せ下手」で苦しむも、うまくいっているリーダーの行動を徹底的に観察するなどして、独自かつ効果的な「任せ方」を体得。その結果、プレイヤー部門とマネージャー部門の両部門で年間全国トップ表彰を4回受賞(社内表彰は累計40回以上)。営業部長、〔株〕フロムエーキャリアの代表取締役など、重要ポストも歴任する。
短期間で成果を出す手法を駆使して「残業しないチーム」を実現したこと、また管理職を務めていた11年間、メンタルダウンする部下や入社3年以内の自主退職者を1人も出さずに済んだことが、ひそかな自慢。
2011年、企業研修を提供する〔株〕らしさラボを設立。営業リーダー、営業マンのパフォーマンスを飛躍的に向上させるオリジナルの手法(研修+コーチング)が評判を呼び、年間260回にのぼるセッション(営業研修・営業リーダー研修・コーチング・講演)を自ら行なっている。リピート率は95%。

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