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「顧客ターゲット」を最初から絞り込んではならない!

2018年06月27日 公開
2023年05月17日 更新

<連載>間違いだらけのビジネス常識(6)船ヶ山 哲(レムズリラ代表)

ターゲットを決める前に顧客を集めよう!

「顧客のターゲティングが大事」ということは、マーケティングの基本の基本。ただ、このターゲット設定に関して致命的な誤解をしている人が多いという。その誤解とはどういったもので、どのようにターゲット設定をすればいいのだろうか。

 

ターゲットは、顧客の「片寄り」で決める

「ビジネスはターゲットだ」と言う人がたまにいます。これは正解でもあり、不正解でもあります。なぜなら、その答えは「段階によって変わる」からです。

ビジネスを立ち上げたばかりの頃は、自分のメッセージに反応する顧客層がまだ見えないので、絞り込むのは危険です。なぜなら、顧客が見えない段階でターゲットを絞り込んでしまうと、自ら顧客を排除することになるからです。

フタを開けたら想定していたターゲットとはまったく違っていたというマンガのような話は、ビジネスの世界ではよくあることです。だから、自分のサービスに対してお金を実際に払う顧客が現われるまでは、絶対にターゲットを絞り込んではいけないのです。

ただ、実際にお客が集まり始めたら、これが真逆になります

ビジネスを運営していくと、必ず顧客層に片寄りが出始めます。

性別/年齢/年収/願望/家族構成

などです。

もし、顧客層にあまり片寄りがないのであれば、「単に、数が足りていない」ということなので、片寄りが現われるまで顧客を集める必要があります。とはいえ、大概は5~10人も集めれば必ず片寄りが出てくるものなので、その段階で正式にターゲットを確定させます

そうすることで、ズバッとターゲットに響くメッセージを打ち出すことができます。その結果、無駄を排除し成約率を上げることができるのです。

このような正しい方法さえとれば、間違ったターゲット設定により、あなたのビジネスが惑わされることもなくなります。

 

媒体ごとにメッセージは変えるべき

ターゲットを決める際にはこのような「2ステップ」で設定することが大切なのですが、そこを抑えたうえで、もう一つ大切なことをお伝えします。それは、ホームページとチラシの顧客層は異なるケースがあるということ。より正確に言えば、「媒体ごとに顧客属性は異なる」ということです。

たとえば、ホームページによって集めた顧客情報から、ターゲットを「男性、40代、サラリーマン」と絞り込み、「では、彼らの願望は……」と考えて広告メッセージを作ったとします。ただ、そのメッセージはホームページでは反響があっても、同じものをチラシに記載して通用するとは限らないのです。

だからといって、「完全に違う」とも限りません。つまり、大切なのは、新しい媒体を手がける際は、これまでの思い込みを一切取り外し、フラットな状態で顧客属性を知る必要があるということです。

そのうえで、顧客属性が同じだったとすれば、メッセージを統一すればいいし、結果的に違ったということであれば、媒体ごとにメッセージを変えれば済むことです。こうすることで、より無駄を排除し成約率を上げることができます。

新しい広告の取り組みを行なう際は、今までの常識を一度、脳から追い出し、フラットな状態で顧客開拓を行なってください。そうすることで、今までとは違った顧客層を開拓することができ、新たな収益の柱ができる可能性が生まれます。

ただ、その際の注意点は、できればビジネスが安定している間に、テスト感覚、遊び感覚で他の市場にアプローチすることです。その遊びの中から、未来の収益の柱が生まれるのです。

(『THE21』2018年7月号より)

著者紹介

船ヶ山 哲(ふながやま・てつ)

レムズリラ代表

1976年、神奈川県生まれ。心理を活用したマーケティングを得意とし、人脈なし、コネ
なし、実績なしの状態から、起業後わずか5年で1,000社以上のクライアントを獲得。その卓越したマーケティング手法は、数々の雑誌やメディアに取り上げられ、現在ではテレビ番組(テレビ神奈川)のメインキャストを務めるほか、ラジオ番組(FM横浜)でもメインパーソナリティーとして活躍中の起業家。また、プライベートでは子供の教育を最優先に考え、マレーシアのジョホールバルに在住。

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